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2023年5月28日号
米国 トランプ氏巡る「騒動」の陰で疑惑膨らむバイデン氏の息子
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 共和党から来年の米大統領選を目指すドナルド・トランプ前大統領の周辺が慌ただしい。3月にニューヨーク州の大陪審に起訴されたかと思えば、5月9日には約30年前に起きたセクハラ事件について、ニューヨーク連邦地裁の陪審から、原告女性に500万㌦の支払いを命じられたのだ。

 こうしたトランプ氏に不利な出来事に対し、共和党本部は民主党からの大統領選出馬が確実視されるジョー・バイデン大統領の次男ハンター氏(53)への攻撃を強めている。

 ハンター氏はこれまでも数々の疑惑が取り沙汰されてきた。共和党が問題視しているのはバイデン氏が副大統領だった時代に、ハンター氏が中国、ルーマニアの企業などから多額の支払いを受けていたという点だ。

 下院監視委員会では、ハンター氏に関する経済的情報を収集・分析し、本格的な調査に入ると同時にハンター氏を追及していくという姿勢を見せている。特に問題とされているのが、副大統領の息子という立場を利用して不当に利益を得た収賄、さらにはこれらの収入に関する税金逃れなどだ。既にデラウェア州の大陪審では、これらの疑惑に対してハンター氏を起訴するかどうかの協議に入っており、数カ月以内に判断する予定とも報じられている。

 こうした疑惑に対し、バイデン大統領は一貫して「自分の職務に関して息子に話をしたことは一切ない。息子は何も間違ったことはしていないと信じている」と発言している。ただ、監視委の委員長であるジェームズ・コマー議員(共和党)は「150以上もの疑わしい経済的活動がある」と指摘。その上で、それらが犯罪に結びついているという証拠は示さないまでも「これは単に大統領の息子の問題ではなく、米大統領を含めたバイデン一家全体に関わる問題だ」と、バイデン大統領自身の関与をほのめかす発言をしている。

 今後の動きだが、ハンター氏は2021年にアルコール依存症や薬物中毒を克服した回顧録を出版している。一方、18年に銃を購入した際に「ドラッグなどの使用歴がない」という宣誓書に署名しており、これが「虚偽であった」として起訴される可能性は高い。また連邦捜査局(FBI)では少なくとも4件に関して、ハンター氏を起訴する可能性があるとも伝えられている。一度起訴されれば、そこから別の疑惑へと波及していくこともある。

 このあたりはトランプ氏も似たような状況で、現在のセクハラ事件からさらなる疑惑追及に発展しそうだ。ただ、もしハンター氏の経済的疑惑が本格的にバイデン大統領本人に波及した場合、現役大統領への刑事告発という前代未聞の事態に発展する可能性もある。

 5月10日に発表された調査会社ユーガブの「いま大統領選挙で投票するとしたらどちら」という世論調査では、バイデン氏45%に対しトランプ氏43%と拮抗(きっこう)している。しかし、ハンター氏に有罪が出ればこうした結果にも影響が表れるだろう。ホワイトハウスは既に対策チームを結成したといわれているが、共和、民主の双方のお粗末な政治劇に国民も徐々に愛想を尽かしつつあるのかもしれない。

(土方細秩子)

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