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2022年12月 4日号
米国 中間選挙で「最大の敗者」評も トランプ氏が大統領選出馬へ
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 史上まれに見る混戦となった11月8日の米中間選挙。同15日時点で民主党が上院で多数派を維持することは確実となった。下院は同日時点で共和党が優勢で、民主党のバイデン大統領は過半数を割り込む公算が大きいとの見方を示しているが、決着はついていない。

 ただ、上下両院で多数派獲得を狙った共和党には「敗北」に近く、民主党は「及第点」という捉え方が多い。中間選挙は時の野党が多数派となる確率が高く、特に今回のようにインフレなどでバイデン氏の人気が落ちている状況では、民主党の大敗も予測された。

 確実に言えるのは、今回の選挙の最大の敗者はトランプ前大統領だった、ということだ。選挙期間中は自らの信奉者である候補者を精力的に応援し、一時は再びトランプ旋風が吹き荒れるとの予想もあった。しかし、トランプ氏が推す候補が大敗を喫した州もあり、その行動が共和党全体に亀裂を与え、敗北に結びついたという見方も多い。米紙『ワシントン・ポスト』は「トランプ党はトランプ党であることのツケを支払った」という見出しで、共和党が「もっとまともな候補を立てていれば、共和党は上院でも過半数を取れただろう」と分析している。

 今回大勝したフロリダ州のデサンティス知事の評価が共和党内で上がり、「次の大統領候補」と目されるようになったことも大きい。義理の娘であるララ氏はデサンティス氏に対し、自らが出演するテレビ番組で、「若く今後があるのだから、大統領選は2028年まで待ち、24年に義父の対抗馬になるべきではない」と語って話題を呼んだ。2人が真っ向から対決をすれば事態が混迷し、24年大統領選での共和党の敗北につながるという主張も出ている。

 当のトランプ氏は相変わらず「選挙に不正があった」と噛(か)み付いている。しかし、自身に司直の手が迫っていることもあり、以前の説得力や影響力を失いつつある。自らの下で副大統領だったペンス氏も今回はトランプ批判に回っている。

 だが、トランプ氏は11月15日に演説し、24年大統領選への出馬を正式表明した。合衆国憲法では、米大統領は通算2期までと定めている。トランプ氏は1期しか務めていないため立候補資格があるが、共和党主流派の反対を押し切っての出馬。1892年に勝ったクリーブランド氏以来の大統領経験者の「返り咲き」はなるか。

(土方細扶子)

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