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2022年10月30日号
米国 トランプ氏の「口撃」止まらず マスク氏やメーガン妃も矛先
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 中間選挙を控える米国でトランプ前大統領が相変わらず人気を維持している。選挙予測で定評のあるウェブサイト「ファイブサーティーエイト(538)」によると「トランプ氏の言動を好ましく思う」人は10月12日時点で41・2%。「好ましく思わない」は54・2%で上回ってはいるものの、連邦捜査局(FBI)による家宅捜索などのスキャンダルがあっても、人気はほとんど落ちていない。

 このトランプ人気が共和党、民主党のどちらに有利に働くか、というのは米国でも議論の分かれるところ。共和党にとっては若手議員の台頭が阻まれ、2024年大統領選に出る人材がいないという問題がある。民主党にとってはインフレなどで現職のバイデン大統領の人気が落ちている現在、共和党に議席を奪われる可能性もある。

 このトランプ氏、人気に気をよくしてか、このところ著名人への攻撃を強めている。まずは二転三転の末に短文投稿サイト「ツイッター」の買収を表明した、電気自動車(EV)大手テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏だ。元々、マスク氏はツイッター買収を言い出した4月の時点で「言論の自由」という観点から、ツイッターのアカウントを停止されたトランプ氏を復活させると見られていた。

 しかし、その後トランプ氏が「あんな値段でツイッターを買収するなど馬鹿げている」などと発言したことから2人の関係は悪化。マスク氏はトランプ氏が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を、トランプ氏の名前と「やかましい」を掛け合わせて、「トランペットと呼ばれるべきだ」などと揶揄(やゆ)していた。

 マスク氏は現在、24年大統領選の共和党候補としてトランプ氏とともに有力視されているデサンティス・フロリダ州知事を支持していると言われている。マスク氏が買収することで「ツイッターが右傾化するのでは」という懸念もある。となるとツイッターとトランプ氏のSNSは〝ライバル関係〟になる可能性もあり、マスク氏が次期大統領候補で誰を支持するかも含め、2人の対立は簡単には読み解けないようだ。

 もう一人、トランプ氏が攻撃しているのが20年に英王室を離脱したメーガン妃だ。トランプ氏は、元々メーガン妃が事実上「嫌い」と公言しており、「(夫のヘンリー王子は妻に)尻に敷かれている」などと発言していた。

 エリザベス女王の葬儀に関連し、女王については「驚くべき女性であり、(女王の死は)大きな損失だ」とする一方、メーガン妃については「女王に対して失礼」と英放送局のインタビューに答えていた。メーガン妃は16年に「もしトランプ氏が大統領になったら、私はカナダに移住する」などと語っていた。カナダではなく英国に渡り、18年にはヘンリー王子と結婚したのだが、この発言によってトランプ氏の逆鱗(げきりん)に触れたと言われている。

 しかし、共和党にとっては、トランプ氏の過激発言は支持者を喜ばせる一方、〝アンチ〟からの攻撃を助長する可能性がある。せめて「中間選挙までは、これ以上攻撃的な発言は控えてほしい」というのが本音かもしれない。

(土方細秩子)

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