サンデー毎日

国際
News Navi
2022年9月18日号
米国 米国の小中高で教員不足が深刻 教員4割が資格外という地方も
loading...

「『こんなにひどいのは初めて』米国の教員不足 壊滅的」

 8月3日付の米紙『ワシントン・ポスト』に載った記事のタイトルだ。記事によれば、全国統計はないものの、全国的に不足が深刻。西部ネバダ州では8月上旬現在、約3000人不足▽中西部イリノイ州では公立小中高校を運営する公的機関「学校区」の88%で不足▽南部テキサス州ヒューストン市とその周辺では五つの学校区でそれぞれ200~1000人不足――と伝えた。

 東部メリーランド州の教育委員会が7月に発表した資料によれば、昨年9月からの新学期を前にして辞めるか死亡した教員は5516人に上った。内訳は自発的離職39・2%▽教育関連業に転職25・5%▽引退20・5%――など。

 米教育省も教員不足を認めている。3月28日付で公表した文書には〈パンデミック(感染症の大流行)の期間中、学校区の多くは教員の募集や離職防止に大いに苦しんできた〉と記す。その上で州政府に対し、〈初任給の引き上げや教員給与の上限撤廃を含め、競争力があり、生活できる賃金を保証すること〉などと求めた。

 公立学校教員らの労働組合「全米教育協会」によれば、教員の平均初任給は20年度、4万1770㌦(約580万円)だった。企業の賃金が上がる中、低いとみなされている。

 西部カリフォルニア州では今年6月、州教育省が初めて発表した「教員配置データ」に注目が集まった。それによると、教員資格のある教科を教える教員の充足率は20年度、83・1%にすぎなかった。

 人口が少なく、低所得者層が多い同州北部には60%台の郡が目立つ。サンフランシスコ市の約360㌔北西にあるシエラ郡は州内最低の64・1%。4割は教員資格がない人などだという。

(土方細秩子)

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム