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2022年8月 7日号
米国 「LGBTを差別する自由」!? 「連邦は邪魔するな」20州主張
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 米連邦地裁が7月15日に命じた内容が物議をかもしている。原告は南部テネシー州など20州の政府。米政治メディア「ポリティコ」は16日、こう報じた。

〈テネシー州東部地区(連邦地裁)のチャールズ・アッチレー裁判長は15日の命令で、教育省の指針は「原告が州法を施行する権限を直接的に妨害し、脅かすもの」とした〉

 米国の学校によっては「男性に生まれながらも女性を自認する生徒が女性としてスポーツのチームに参加できる」「女性に生まれながらも男性を自認する生徒が男性用トイレを使える」といった扱いをする。テネシー州など20州はそのような扱いを禁止する州法を制定したが、連邦政府は効力を認めない。そこで原告は昨年8月、「それはおかしい」と連邦政府を提訴した。すると連邦地裁は20州が要求した通り、バイデン政権が策定した「教育や労働の場でLGBTなど性的少数者への差別を禁じる指針」の仮差止命令を出したのだ。

 米紙『ニューヨーク・タイムズ』は性的少数者擁護団体「ラムダリーガル」の法務担当者に取材し、7月17日付の記事にその声を載せた。

「なんとも多くの州が『州民を差別する自由が必要だ』と攻撃的に主張したことは驚きであり、嘆かわしいことです」

 ただ、共和党右派の政治家には決定を強く支持する人が多い。CNNは19日、テッド・クルーズ連邦上院議員が同性婚に反対する発言をしたと報じた。米連邦最高裁は2015年、同性婚を認めた。クルーズ氏は「結婚に関することは今までずっと州が決めてきた」とし、連邦最高裁が州の権限を骨抜きにした判決を攻撃した。

 州と連邦の対立が激化している。

(土方細秩子)

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