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2022年6月 5日号
米国 米下院でUFOに関する公聴会 「UFO目撃者をバカにするな」
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「UAPに関する報告は何十年も前からありましたが、秩序だった報告手順はなく、(報告者は)スティグマ(偏見による差別)にさらされ、捜査されないままでした。それを変える必要があります」

 米下院情報委員会のアダム・シフ委員長が5月17日、下院公聴会で口にした「UAP」とは、「未確認航空現象」を意味する米国防総省の部内用語だ。要は世間で言う「UFO」のこと。「UFOを見た」と報告する人を、当局は笑い者にしがちだが、その姿勢を改めるべきだというのだ。それどころか、シフ氏は「UAPに関する報告は国家安全保障にかかわると理解する必要があります」と続けた。

 オカルトマニアの政治家が国権の最高機関でトンデモ発言をしたのではない。大真面目にUAPを議論したのだ。

 シフ氏の次に発言したのは、国防総省のモールトリー次官。「軍構成員が未確認航空現象に遭遇したことがあると我々は認識しています」と述べ、解明に努めていると強調した。モールトリー氏はその正体の可能性として、「敵によるプラットフォーム、ブレークスルー技術、米国の政府か民間によるプラットフォーム、同盟国か友好国のシステム、その他の自然現象」を挙げた。「プラットフォーム」という曖昧な言葉を選んだのは「物体」と呼ぶべきかどうか判断できなかったためだろう。

 さらに米海軍情報部のスコット・ブレイ副部長が説明を続けた。海軍省は2020年8月、「UAP作業班」を新編、軍関係者から「現在までに400件以上の報告例がある」とした。ブレイ氏は洋上に静止する三角形の物体と海軍機を横切る球体の映像計3点をその場で再生し、軍関係者が撮影したと説明した。正体は解明できていないが、「海軍の作戦上、脅威となり得る」という。

 米国防総省は昨年6月、米政府関係者による報告例が04〜21年の間に144件あったとする報告書を公表していた。

(土方細秩子)

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