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2022年3月27日号
韓国 新大統領に尹錫悦前検事総長 「最悪」日韓関係の改善なるか
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 得票率で1ポイント足らずの僅差。3月9日の韓国大統領選は、最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が大接戦の末、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏を退けて勝利した。これまでの大統領選は投票日当日に結果が判明することが多かった。だが、今回は大票田のソウル首都圏が大接戦で、ようやく当確が報じられたのは、10日午前4時になってだった。

 尹氏の勝利を後押ししたのは、政権交代を望む世論だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の革新政権5年間には雇用も低調、格差も拡大し、閉塞(へいそく)感が強まっていた。そういった民心を尹氏がうまくすくい取ったと言える。

 一方、尹氏の圧勝という見方もあったが、僅差となったのは野党側候補の一本化が影響したようだ。中道系野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補と尹氏が選挙戦終盤で一本化を発表。これに危機感を覚えた与党や革新支持層が、それぞれに結束したようだ。期日前投票が約37%と過去最高となったのは、このためだ。

 尹氏の就任は5月10日。尹氏は検事総長から立候補し、政治家としての経験が全くない。そのため政策立案と実行はこれまでの保守政権で経験を積んだ政治家や研究者がブレーンとなるだろう。

 尹氏は選挙戦で「バイデン米大統領の次に岸田文雄首相と会う」と述べるなど、日本重視の姿勢が見える。「史上最悪」と称される日韓関係を憂慮しており、首脳同士の「シャトル外交」を復活させると意気込む。だが、これは日本側が協議の必要性をどこまで感じるかによりそうだ。北朝鮮に対しても文政権のような融和的な政策より、強硬な姿勢に転じる可能性がある。

 だが、韓国国会は文大統領や李氏の所属与党「共に民主党」が過半数を占めるなど、政策実行に苦労をしそうだ。さらに、選挙結果からは世代間、男女間の意見の差がよりはっきりした。尹氏が標榜(ひょうぼう)した「国民統合」を達成できるかどうか。

(浅川新介)

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