米西部ユタ州のコックス知事は2月26日、〈ユタ州営酒類販売所からロシア産またはロシア商標の製品を撤去する〉という文言を含む行政命令を出した。もちろん撤去するのは〈ユタ州はウクライナの人々と連帯し、ロシアによる攻撃を明確に非難する〉(行政命令)からだ。同州には飲酒しないモルモン教徒が多く住み、アルコール度数5%超の酒類は州政府が独占販売している。
ニューハンプシャー、オハイオ、ペンシルベニア、メインの各州知事も同様の措置を取った。
ただし影響は小さいという見方もある。米蒸留酒協議会に取材した米NBCテレビは、担当者の話をこう伝えた。
「米国が輸入するロシア産ウオッカは2011年から79%近く減っており、21年の輸入ウオッカの1・3%を占めるにすぎません」
もっともウオッカ=ロシアというイメージが強いため、他国産のウオッカも巻き添えになるかもしれない。
個人商店でも「当店ではロシア産品の取り扱いを停止しています」という貼り紙を出す所が出現し始めた。草の根のロシア産品不買運動が広がり始めたのだ。
話はウオッカにとどまらない。ニューヨーク州のホークル知事は2月27日、同州政府や関係機関による対露投資を解約し、新たな契約を禁じるとする行政命令に署名した。
また、マサチューセッツ州下院では州内でロシア産品の購入や消費を禁止する州法を審議中だ。法案が成立すれば、州政府だけでなく、個人や企業も対象になる。
アラスカ州選出の連邦上院議員は侵攻前の9日、ロシア産水産物の輸入を禁止する法案を提出している。これはロシアが14年、米国産水産物の輸入を禁じた措置に対抗するものだという。
(土方細秩子)