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2022年1月16日号
米国 インフレ39年ぶりの6.8% 庶民の支出は年40万円も増加
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 1982年6月以来、39年ぶりの水準――。米労働省が12月10日に発表した11月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月より6・8%高くなったのだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とするCPI上昇率2%を上回ったのは9カ月連続だ。

 品目別の前年同月比上昇率はガソリン58・1%▽中古車31・4%▽天然ガス25・1%▽食肉・鮮魚・鶏卵12・8%▽新車11・1%▽たばこ類8・9%――だった。ガソリンの上昇率は80年4月以来の高さという。

 FRBのパウエル議長は11月30日、米上院銀行委員会でこう語った。

「パンデミックに起因する需給の不均衡は、いくつかの分野で注目すべき価格上昇をもたらしています。供給網に問題が生じたことで生産者は高まる需要に対応しにくくなりました。また、エネルギー価格と賃料の上昇がインフレを加速させています」

 パウエル氏は先行きについて、「FRBを含む多くの専門家は需給不均衡が22年に解消する過程で、インフレ率は顕著に下がると見ています」としつつ、「最近になって、インフレを加速させる要因は22年中も続くと考えられるようになっています」とした。

 過熱する物価に対処するため、FRBは12月15日、「量的金融緩和の縮小を急ぐ」と決めた。これまで米国債などの資産を月1200億㌦(約13兆7000億円)購入してきたが、11月から購入額を減らし、12月以降はさらに減らして、22年は利上げに転じるという。

 インフレは庶民の暮らしを圧迫している。ペンシルベニア大経営学部の研究者は同日、〈我々の推計では、米国の平均的な世帯が21年中、19年か20年と同じ水準でモノとサービスを購入する場合、インフレによって支出額が年3500㌦ほど増える〉とする分析結果を公表した。所得が高い世帯は支出が6%増え、所得が低い世帯は7%増にもなるという。

(土方細秩子)

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