〈訂正 当初の記事は馬に乗った国境警備官の行動を誇張していました。警備官は(メキシコから国境の川を渡って米国に入ろうとする)移民をリオグランデ川に押し戻す際、手綱を振るったものの、移民が手綱でたたかれたという確定的な証拠を本紙は得ていません〉
米紙『ニューヨーク・タイムズ』(電子版)が9月24日、同日付の記事末尾に付けた訂正文だ。訂正前の記事は40秒の動画を載せ、〈動画に映る馬に乗った警備官は、走る移民を馬の手綱でたたくこともあった〉と報じていた。しかし、その動画には手綱が移民にあたるシーンは映っていない。
現場はテキサス州デルリオ市の近くを流れるリオグランデ川の川岸。19日付の地元紙『エルパソ・タイムズ』(電子版)は対岸のメキシコ側から押し寄せるハイチ人移民に対し、〈警備官は「行け! 出て行け! メキシコに戻れ!」と叫び、手綱をムチのように振るって威嚇した〉と伝えた。その後、米政治メディア「ポリティコ」が「ムチで打った」と報じ、バイデン大統領が「(警備官の行為は)許しがたい。報いを受けることになる」と調査を約束する騒動に発展した。
しかし、現場で写真を撮ったカメラマンは23日、地元テレビ局の取材に「私はムチで打つ警備官を見ていない」と話した。保守系ニュース専門局「FOXニュース」は連日、「ムチ打ちはなかった」と国境警備隊を擁護。29日には〈左派は今もフェイクニュースを広げている〉などとし、『ニューヨーク・タイムズ』などを批判した。
調査会社ギャロップが22日に発表した世論調査の結果によれば、バイデン氏の支持率は43%に急落。第二次大戦後、就任後8カ月の支持率がこれほど低かった大統領は同氏とトランプ前大統領だけだという。
(土方細秩子)