「ジョー・バイデンが恥辱とともに辞任する時だ」
8月15日、そんな声明を発表したのはトランプ前大統領。アフガニスタンの首都カブールにイスラム主義組織タリバンが入城し、同国政府が瓦解(がかい)した日のことだ。
バイデン大統領は翌日、「就任した時、私はトランプ大統領がタリバンと交渉した合意を引き継ぎました」と演説し、既定の方針に従っただけだとした。バイデン氏は就任後、タリバンと再交渉し、米軍の撤退期限を5月から9月11日に延期していた。米同時多発テロ事件から20年の日だ。
しかし、演説の評判はよくない。米保守系ニュース専門局FOXニュースは「バイデンのアフガン演説に独立派が落第点」と報じた。米コンサルタント会社「マランスキー・アンド・アソシエイツ」が演説に対する有権者の評価を分析したところ、共和党支持層だけでなく2大政党を支持しない独立派有権者の評価も、落第を意味する「F」だったとした。
演説でとりわけ評判が悪かった部分は、バイデン氏の決めゼリフ「責任は私のところで止まる」だったという。第二次世界大戦が終結した時の大統領だったトルーマンを記念する博物館のウェブサイトによれば、トルーマン元大統領はほぼ同じ表現の英文を書いた置き物をホワイトハウスの執務デスクに載せていた。バイデン氏は戦争を終結させた大物の大統領にあやかったということらしい。FOXニュースの司会者も揶揄(やゆ)していた。
番組に出演したマランスキーの社長は、ある独立派の声をこう伝えた。
「私たちが怒っているのは、彼がこんなやり方で(米国の)兵隊を撤退させ、危険にさらしたこと。責任は確かに彼のところで止まったのです」
APが8月17日に配信した記事によれば、4月までにアフガンで命を落とした米軍人は2448人。アフガンとイラクの戦費は2兆㌦(約219兆円)に上るという。
(土方細秩子)