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2021年6月20日号
カナダ カナダ学校跡に215人の遺体 「児童生徒の遺体」と先住民団体
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 カナダの学校跡地から児童生徒215人の遺体が見つかった。5月28日付のカナダ紙『バンクーバー・サン』によれば、遺体を発見したのは地元の先住民団体。現場は西部ブリティッシュコロンビア州カムループス市のカムループス・インディアン寄宿学校跡だという。英語圏メディアが一斉に報じている。

 遺体を見つけたシュスワプ族の団体の長、ロザンヌ・カシミールさんは27日付の声明文にこう記した。

「住民には(遺体の身元に関する)知識があり、誰のものか分かりました。私たちが知る限り、これらの子どもの死は今まで記録されていません。3歳の遺体もありました」

 前出の記事によれば、1978年に閉校するまで現場にあった学校は〈政府が(先住民の)強制同化政策の一環で設立した寄宿学校の一つ。何世代にもわたる先住民の子どもの抑圧につながった〉。1890年に開校し、1969年までカトリック教会が運営した。その後はカナダ政府が運営する寄宿舎に変わり、寄宿生は近隣の学校に通ったという。

 カナダのトルドー首相は29日、「我が国の暗く、恥ずべき歴史を痛ましく思い起こしています」と表明した。カナダ政府の真実和解委員会(TRC)がまとめた報告書によると、1883〜1997年の間、15万人以上の先住民児童生徒が全国140校に通った。〈政府が資金を支出し、キリスト教の教会が運営した。子どもを「文明化」し、「インディアン問題を除去する」ため、家族から引き離して学校に入れた〉と報告書にある。TRCが身元を確認した死亡者数は4100人以上に上るという。

 2008年になって当時のハーパー首相が公式に謝罪。TRCを設立し、補償を始めた。〈寄宿学校はインディアンの言語や宗教をカナダから排除する文化的ジェノサイド政策の一環だった〉とTRCは結論付けている。

(土方細秩子)

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