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2021年2月21日号
金融 個人投資家が一斉に買い上げて ヘッジファンド「数十億ドル損」
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〈素人トレーダー集団がウォール街随一の切れ者たちを、まるで間抜けのようにみせた1週間だった〉

 米経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(日本語電子版)は2月2日、そう書き出すコラムを載せた。話題にしたのは、個人投資家が特定の銘柄を一斉に買って株価が急騰した一件。彼らが狙い撃ちしたのは、ヘッジファンドが空売りしているとされた銘柄だ。空売りとは、ある銘柄の株価が下がると見込んだ投資のことで、見通し通りに株価が下がると利益が得られる。

 オンライン掲示板「レディット」のユーザーが注目したのはビデオゲーム販売の米ゲームストップや映画館チェーンの米AMCエンターテインメント・ホールディングス。ゲームストップを例に挙げよう。1月12日までの株価は17~19㌦(約1800~2000円、終値ベース)で推移していた。ところが13日に31㌦にはね上がってから急騰を続け、27日の終値は347㌦と、上旬比20倍近くに達した。前出の記事によると、〈逆の動きに賭けていたヘッジファンドは数十億ドルの損失を被った〉。

 すると、スマートフォン専用証券のロビンフッドは同日、ゲームストップなど急騰した銘柄の購入を停止する措置を取った。株価は一挙に暴落、その後も乱高下する荒い値動きになっている。

 国内の市場関係者が言う。

「米国の株式売買額に占める個人の売買シェアは昨年、19・5%と前年比4%も増えました。ロビンフッドの利用者は、米政府による2回の現金給付や、失業給付を得た若者が多いようです」

 ネットで株の売買を呼び掛ける行為は法に抵触する「共謀」や「相場操作」に当たるという見方がある。しかし、情報量や資本力で勝るヘッジファンドに対する反感は根強く、専門家の意見は分かれている。

(森岡英樹)

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