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2021年2月14日号
米国 バイデン氏「輸入車は調達せず」 「自国第一主義」は変わらない?
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 バイデン大統領は1月20日の就任から27日までの間に、40本近くの大統領令に署名した。記録的に多い水準だ。トランプ前大統領が脱退を決めた世界保健機関や温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰など、前政権の政策を覆すものが目立つ。

 対照的なのは、政府調達や公共事業に米国の製品とサービスの利用を義務づける「バイ・アメリカン条項」だ。バイデン氏は署名の直前、記者団にこう話した。

「バイ・アメリカンは国内全域が対象です。歴史的に政府調達から除外されてきた全国の黒人、ブラウン(中南米系)、先住民の小規模事業や企業から買うということです」

 米商務省のデータによれば、米国の名目国内総生産に占める製造業の比率は2019年、10・9%だった。日本の20・5%の半分だ。

 今回の大統領令は「メード・イン・アメリカ」の定義を透明化する。バイデン氏は前出の会見で、連邦政府が公用車を調達する際の現行規定を説明し、今後は使用できる輸入部品の上限を引き下げるとした。およそ65万台に上るという公用車を「米国人が米国で製造したクリーンな電気自動車(EV)に置き換える」とも述べた。

 米国と経済が一体化しているカナダは懸念を強めている。米ゼネラル・モーターズがEVバン用の工場をカナダに新設する計画があり、1月15日に本決まりになったばかり。同工場で製造したバンを米連邦政府に納品できなければ、工場の新設計画は頓挫しかねない。カナダの公共放送CBCによれば、同国のフリーランド副首相兼財務相は25日、「これまでも米国の保護主義に対処しており、はね返す方法を熟知している」と述べた。

「アメリカ・ファースト」という点では前政権と変わらないのではないか。そんな批判が高まりそうだ。

(土方細秩子)

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