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2021年1月24日号
米国 葬祭会社が遺体引き受けを拒否 コロナ関連死急増に苦しむロス
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米国に3000以上ある郡のうち、新型コロナウイルスの感染者数が最も多いのはカリフォルニア州ロサンゼルス郡の85万2165人。死者数でも同郡が全米1位の1万1328人だ(いずれも累計、米ジョンズ・ホプキンス大調べ、1月8日現在)。日本の3・2倍と2・9倍にもなる。

ロス郡では昨年12月末以降、新型コロナ関連の死者が100人を超える日が続き、葬祭会社の受け入れ能力は限界に達している。AP通信は1月4日、ロサンゼルス市の葬祭会社を経営するマグダ・マルドナドさんの声をこう伝えた。

「葬祭業に40年従事してきて、遺族に『すみませんが、あなたの家族は引き受けられません』と断ることになるなんて、全く想像もしませんでした」

それでもマルドナドさんの会社は1日当たり平均30人の遺体を引き受けている。平常時の6倍という。

昨年12月30日付『ロサンゼルス・タイムズ』によると、ロス市中心部から約20キロ南のリンウッド市にある病院に勤める看護師は、葬祭会社からこう聞いた。

「遺体を安置する場所が足りないので、火葬する遺体しか引き受けられない」

筆者の友人は最近、新型コロナに感染した父親を亡くした。米国では土葬が一般的だが、火葬を選ばざるを得なかった。火葬場はフル稼働だという。

ロス周辺の病院の集中治療室は12月半ばに使用率が100%に達した。救急車が患者を受け入れる病院を探すのに数時間かかり、年明けには陸軍工兵隊が酸素吸入設備の供給支援をする異例づくしの事態になっている。

(土方細秩子)

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