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2020年12月 6日号
韓国 平昌に続き東京も五輪交流か 日本接近は対北朝鮮の「布石」
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11月に入り韓国が日本に対し、積極的なアプローチを相次いで行っている。

14日、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「日本の首相にお会いできてうれしい」とあいさつした。オンライン会合とはいえ、わざわざ特定国家のトップに対する発言は異例中の異例だ。

8日には、韓国の情報機関・国家情報院の朴智元(パク・チウォン)院長が訪日し、1998年の日韓共同宣言に続く新たな宣言作成を提案している。同時期に、韓日議員連盟の議員団も訪日。金振杓(キム・ジンピョ)会長が「交流協力から始めよう」と日本に訴えた。

さらに金会長は帰国後、「日本政府は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)(朝鮮労働党委員長)が東京五輪に出席する意向があるなら招待すると表明した」と打ち明けて物議を醸し出している。

2018年平昌(ピョンチャン)五輪では、北朝鮮から金委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)・党副部長ら最高幹部が訪韓して開会式に出席した。韓国の相次ぐ対日アプローチには、来夏に延期された東京五輪をテコに、文政権が北朝鮮政策を前に進めるための布石との指摘が上がっている。文政権の至上課題は北朝鮮との交流拡大。南北、米朝の首脳会談が行われ、南北対話が進んだ18年の再来を願い、五輪の舞台となる「東京=日本」に融和的な姿勢を見せているというわけだ。

このようなアプローチは、米国がバイデン新政権になることも念頭に置いている。同盟国との関係強化を重視するバイデン氏は、対立中の日韓に関係改善を強く求める可能性が高い。関係改善を韓国主導で行えば、対北朝鮮政策に消極的なバイデン氏も腰を上げるのではないか、との思惑が透けて見える。

その北朝鮮は米国の政権移行期を見据え、眼中に韓国はないのが実情だ。日本も徴用工問題で受け入れ可能な提案をしない口先だけの韓国に、何かしてあげる義理はない。結局は文政権の独り相撲だ。

(浅川新介)

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