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2020年10月25日号
北朝鮮 金委員長が「80日戦闘」を展開 トランプ氏とともに〝勝つ〟?
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来年1月に朝鮮労働党第8回大会の開催を予告した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)・党委員長。その準備に本腰を入れ始めたのか、10月5日に「80日戦闘」の展開を発表した。この日、党中央委員会第7期第19回政治局会議で「80日戦闘を力強く展開して党第8回大会を輝かしく迎えることに関する問題を討議した」(朝鮮中央放送)。同会議は北朝鮮の最高意思決定機関だ。

「戦闘」とは、北朝鮮国民にとって「キャンペーン」といった意味合いのものだ。党大会のような国家行事を前に、工場や企業に課された目標を達成、あるいは超過達成を実現させるように働き、朝鮮労働党に対して「忠誠心を誓う運動」とされている。

36年ぶりの開催となった前回2016年5月の第7回党大会では、開催前の2〜5月に「70日戦闘」、終了後の6月から「200日戦闘」が行われた。久しぶりの開催だったことに加え、経済戦略の軸となる「国家経済発展5カ年戦略」が発表されたこともあり、長期間の「戦闘」が行われた。

北朝鮮は10年以降、緩やかな経済回復にあったが、国際的な経済制裁が強化され、経済成長にブレーキがかかり始めた。今年に入ってからは新型コロナウイルスの流行により、年初から国境を封鎖したため、対外経済活動もストップして外貨不足が深刻だ。また、台風など自然災害も発生して甚大な被害が発生し、その復旧にも大わらわだ。

さらに、自国の安全保障でカギとなる米国では11月に大統領選を控え、対外情勢も不安定化している。個人的な親密さをアピールしてきたトランプ大統領はコロナに感染したこともあり、現段階で再選は危うくなってきた。

感染が発覚した直後に「1日も早く全快することを願う。あなたは必ず打ち勝つ」と見舞い電報を打った金委員長。ただ「打ち勝つ」との電文は、80日戦闘を始めた自分自身をも鼓舞するためのものだったのか。

(浅川新介)

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