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2020年10月11日号
米国 新型コロナより大麻合法化? 米民主党、法案提出を先送り
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「票読みをした結果、法案提出を先送りすべきという主張なら、私はその見通しに賛同できません」

9月17日付の米ネットメディア「ポリティコ」が載せた発言の主は、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス米下院議員。2018年、史上最年少の29歳で下院議員に選出された民主党の若手ホープだ。彼女が批判の矛先を向けるのは、同党下院指導部が「大麻機会再投資および前科抹消法案」、通称MORE法案の提出を11月3日の大統領選後に先送りする姿勢に転じたことだ。

同法案は過去に大麻を所持や使用するなどした結果、有罪判決を受けた人の記録を抹消し、大麻製品の販売価格に5%課税を導入することなどを柱とする。要は大麻を合法化する法案だ。

米国ではコロラドとワシントンの両州が12年に合法化したのを皮切りに、両州を含む11州が大麻の所持、使用、販売などを合法化した。それらの州では、成人なら特段の手続きなく州政府が認可する販売店で大麻製品を購入し、使用できる。しかし、連邦法では違法のままだ。

前出の「ポリティコ」記事は、民主党が同法案を推進する背景として〈国民の過半が支持する人種的平等を訴える抗議運動が続いている〉ことを指摘した。というのも、人権団体の全米市民自由連合(ACLU)によると、〈白人と黒人の大麻使用率は変わらない〉にもかかわらず、10年には〈黒人は大麻所持により白人のほぼ4倍も多く逮捕された〉からだ。

では同党指導部はなぜ法案提出を先送りするのか。一部の共和党議員が「パンデミックの最中なのに、民主党は公衆衛生と経済の危機より大麻を優先させている」と批判しているからだ。民主党大統領候補のバイデン前副大統領は大麻に関し、前科抹消と〝医療用大麻〟の解禁に賛成するが、「嗜好(しこう)用大麻を合法化するかどうかは州に任せる」(公式ウェブサイト)との立場。大麻の問題は極めて政治的なのだ。

(土方細秩子)

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