牧太郎の青い空白い雲/1041
パソコンで検索するのに「グーグル」を使っている。「調べたい言葉」を入力すると瞬時に【AIによる概要】なるモノが出てくる。この「概要」を読めば「必要なこと」の半分ぐらいが分かる。便利。
気になるのは......「AI」という文字に出合うことだ。AI(Artificial Intelligence)、つまり「人工知能」。82歳の当方、AIなるものと無縁のはずだが......、〝知り合い〟は「要するにだなぁ、事実上、お前さんもAIを使っていることなんだよ!」と言う。
同い年の彼はさまざまな分野でAIに意見を求めているらしい。
「お前もAIに便秘の治療法を聞いたらいいぞ!」なんて冗談を言う。彼は一日中、AIと一緒らしい。
でも......。AIなるものは万能なのか? こんなことが起こった。
9月初め「下田さんが亡くなりました」という連絡を受けた。
「下田さん」は競馬仲間の親分格。「長老!」と呼ばれていたが、びっくりした。ブログ(「牧太郎の二代目・日本魁新聞社」)を使って、仲間に「訃報」を知らせよう!と情報を整理するため、グーグルに「牧太郎・下田・長老」の文字を入力したら......。例によって【AIによる概要】なるものが出てきた。
①ジャーナリスト・牧太郎は以前、脳梗塞(こうそく)で倒れた。
②伊豆半島の下田に長いこと滞在。温泉療法をした。
③その間、下田に住む長老たちと親しくなった―と言うのだ。
もちろん、AIの勘違い! 下田に行ったことはあるが、宿泊したことはない、厳密に言えば、脳梗塞ではなくて「脳卒中」で倒れた。
当方の「聞き方」が悪かったとは思うが、AIは自信たっぷりに「情報」を発信する。悪意はない!と思うけど......詐欺師のような素早い反応じゃないか? はっきり言って怖くなった。AIを相談相手にしている人がたくさんいる。朝から晩までAIと一緒にいる!と言う人までいる。それでいいのか? AIだって間違うのに......。
ご本人は気づかないが、このタイプは「自分で考えること」を放棄しているのではあるまいか?
もっと言えば、社会全体が思考力低下している? 恐ろしい。
米ニューヨーク市が公立小・中学校などに通う約60万人の児童・生徒を対象に、学校内での生成AIツールの利用を1年間、原則禁止したらしい。教育現場も右往左往している。
少なくとも、何から何まで「AI頼り」はやめようじゃないか。
家族には「家族にしかない知恵」がある。友には「友にしかない工夫」がある。だから相談しようよ!
AIはさらに進化するだろう。聞くところによると、2045年には人間の知能を超えるらしい。
そうなると地球は、人間社会はどうなるのか? 分からない。
でも......。家族、友には「愛」があるから大丈夫!と信じている。
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◇まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある