サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2026年11月 1日号
"簗和生・予算カット騒動"で明るみに出た「議員秘書は奴隷扱い」
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牧太郎の青い空白い雲牧太郎の青い空白い雲/1040

『週刊文春』と『週刊新潮』が同じタイミングで報じた「簗和生(やなかずお)農水大臣の予算大幅カット」騒動。 簗さんは「(私ではなく、対立候補を支援した)那須烏山市と那珂川町の令和8年度の道路予算については、大幅にカットしました」と自慢?した。予算配分の公正性を根底から無視して〝大臣更迭〟......。 それより気になったのは......関係者が明らかにした「パワハラ疑惑」である。簗さんは「反対陣営」だけでなく、「味方」にも厳しい。例えば秘書に対して......「お前は馬鹿(ばか)だ!」などと人格を真っ向から否定すると報じられた。地元事務所では、こうしたパワハラが原因で、これまでに20人近く、秘書さんが退職したそうだ。 簗さんは議員宿舎を借りずに選挙区内に住み、国会には午前6時11分の那須塩原駅始発の新幹線で通勤するという。「地元」を大事するのは理解できるが、秘書さんは早朝4時に起き、センセイを車で駅まで送らなければならない。彼が帰る夜23時まで留守番させられる。それだけではない。秘書さんは身内の葬儀にも結婚式にも行けないのだ。「馬鹿!」と言われ、後頭部から首筋を中心に頭全体が締めつけられる「緊張型頭痛」になった人もいるとされる。そんな「仕打ち」を受ける議員秘書って、どんな待遇を受けるのだろう? 国費で給与が賄われる「公設秘書」は議員1人につき、政策担当秘書、第一秘書、第二秘書の3人。「政策担当」は資格試験の合格、または選考採用審査の認定が必要とされる「特別職の国家公務員」だから、年収の目安は最低600万円以上。経験や年齢、手当によって1000万円を超える。一番安い「公設第二秘書」でも、約480万〜750万円ぐらいらしい。 問題は議員個人や政治資金で雇う「私設秘書」。地元の事務所で働く面々である。「私設秘書」は道路建設、就職、冠婚葬祭に至るまで「有権者の要望」をこまめに拾う「議員の分身」。仕事はキツいのに年収は300万円前後。はっきり言って貧乏人になってしまう。 知り合いの青年が「議員秘書になって政治を勉強したい」と言う。そんな時、「それだけはやめろ!」と答えることにしている。 なぜか? 簗さんだけでなく、議員の多くが議員秘書を「奴隷扱い」するからだ。 元外相の田中眞紀子さんは常々「人間には家族と使用人と敵の3種類しかない」と話していた......。使用人とは「秘書」のことだろう。眞紀子さんが外相だった2001年11月、来日したイランのハラジ外相との会談直前、秘書官に「ポケットに入れたはずの指輪がない。デパートへ買いに行け!」。その結果、会談に30分ほど遅刻する事態に......。この騒動は「秘書は奴隷!」を証明する〝逸話〟になっている。 政治の世界は凄(すさ)まじいほど「時代遅れ」なんだ(笑)。

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◇まき・たろう 1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある

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