〝中国村〟の不動産買い占めで若者はマンションに住めなくなる?
高校生の頃(昭和30年代後半)、実家のある東京・浅草橋駅から約2㌔離れた「雷門」に向かってマラソンをした。観音様を拝んで、仲見世の「甘味や」で一休み。それでも、疲れてしまって「帰り」はタクシーに乗ってしまう。お袋から「まるで、ご皇室の運動会みたいだね」と揶揄(からか)われたが......。当時、浅草のタクシーはお客さんが少なくて「ワンメーターの高校生」でも歓迎された。
それからおよそ60年。雷門あたりは外国人旅行者で溢(あふ)れ、タクシーなんて簡単には拾えない。やっと拾った運転手さんと話をしていたら「意外なこと」を聞かされた。
「浅草とか鎌倉とか、観光地では外国人旅行者は(無免許の)白タクに乗るんですよ。タクシーを利用するのは日本に住んでいる金持ちの外国人。日本人はカネがないから乗らないですよ」と笑う。
そういえば、どこへ行っても旅行者以外の「在留外国人」も急増している。日本に住む外国人の数は358万8956人(令和6年6月末の調べ)。前年比で17万人も増えている。浅草も多いのだろう。
昨今、永田町では「日本人ファースト」と排他的な主張を展開する政党も出てきた。「外国人の増加が危険だ!」と言うが......。この運転手さんは「普通の外国人は怖くない」と言う。警察庁の調べでは、ここ1年間で来日した外国人による窃盗や入管法違反などの犯罪は2万1794件。検挙された人は1万2170人。確かに多い!と思うけど......。これまで「最悪」とされる2005年は4万7865件。これと比べると少なくなっているのか?
約2000人のクルド人が住む埼玉県川口市を見ても、04年から20年で、外国人人口は約3倍に増えたが、刑法犯の認知件数は3分の1に減少しているそうだ。
件(くだん)の運転手さんは「それより問題は、特定の外国人が日本の不動産を買い占めていることですよ」。彼が住むマンションの管理組合の集まりで「中国人が多いから中国語でやってくれ!」という意見が出て、ショックだったと言う。
外国資本、とくに中国資本が都市部、農地、水源地......そして離島まで買い占めていると言われる。
「マンションを一棟買い、賃料を上げる。日本人は払えないから出ていくんですよ。まるで中国村ですよ」(運転手さん)
知らなかった。
2㌔ぐらいしか離れていない所が「日本ではない場所」になっている。「日本の土地」を無制限に「外国人」に買わせていいのだろうか? 専門家は「外国人の自由な不動産の売買を認めている国は日本だけ」と言う(例えば、スイスは外国人の別荘取得に地域ごとに「制限」を定めている)。
「日本人ファースト」なんて言うけど......。現実に、〝中国村〟の「列島買い占め」で、多くの若者がマンションに住めなくなる?
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◇まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある