牧太郎の青い空白い雲/972
正月のテレビ番組で、誰かが「おめでとう、どころではない人が大勢いる」と言ってたけど......。確かに「飯が食えない人」がたくさんいる。
ごく普通のサラリーマンでも、4人に1人が「勤務日にランチを食べないことがある」と答えている(2024年9月の「エデンレッドジャパンの実態調査」)。「欠食率」は26・7%、過去最高の数値だという。東京・麹町の大手出版社に勤める〝知り合い〟だって、大好きな「街中華のラーメン」を我慢して近くの「○○大学の学生食堂」で昼飯を食べている。
食べられない!だけではない。「水が飲めない人」までいる。能登地震の被災地では、いまだに「水道」が通らないところがある。なぜ、こんな理不尽なことが放置されているのか?
カネの使い方が間違っているからだ。政府は東京五輪に約1兆7000億円も使った。大阪万博で多分3000億円以上使うだろう。それなのに、能登の復興資金は、当初は予備費からわずか約47億円だった。阪神・淡路大震災の時も、東日本大震災の時も、政府は地震発生から1カ月以内に補正予算を組んだ。それなのに、今回の能登地震で岸田内閣は補正予算を組まなかった。だから1年経(た)っても「水が飲めない」のだ。政府は海外への「ばら撒(ま)き」に18兆円以上も使っているのに......。
最近、ネットで「メチャ恐ろしい名前の停留所」を知った。岩手県一関市真柴祈祷にある「鬼死骸(おにしがい)停留所」。確かに恐ろしい。
この地には平安時代、征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)の坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が、反抗する蝦夷(えみし)の将「大武丸(おおたけまる)」という「鬼」を討ち取った!という伝説が残っている。「鬼」の首は遠い宮城県まで飛び、それ以外の「亡骸(なきがら)」がこの地に埋められた。だから「鬼死骸」。近くに「鬼死骸八幡神社」もあるらしい。
バスは廃止されたが「鬼死骸停留所待合室」は残っている。実はアニメ「鬼滅の刃」の大ヒットで、この「恐ろしい停留所」の写真を撮りにくる観光客がいるらしい。
この伝説を信じると、「お上」に逆らう反乱軍は「鬼」扱い。勝てば官軍、負ければ「鬼」軍。
この正月、小さな「反乱」が起こった。新聞、テレビは無視しているが、かなりの人々が財務省の前に集まり、声を揃(そろ)え「消費税廃止、財務省解体」と叫んだ。潜在的国民負担率が62・9%に達したというネット情報が拡散し、多くの日本人が恐怖を感じ「反乱」に結びついた。
一方で「お上」に近い〝誰かさん〟が堂々と「年金の受給開始を70歳にすべきだ」と主張する。ロクに食べられない日本人が近い将来、80〜90歳まで働くことになる?
俺には「今の政府こそ鬼!」と思えてならないのだが......。