サンデー毎日

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青い空白い雲
2024年6月 2日号
安倍晋三のお手柄は「和風元号」 微妙なのはコロナワクチン?
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牧太郎の青い空白い雲/946 

 1強と言われた「安倍晋三の政治」を徹底的に検証すべきだ!という意見が、突如急増している。たぶん、今年に入っての歴史的な円安、日本国がこれほど貧乏になったのは「アベノミクスが間違っていたから?」と人々が思うようになったからではないか。安倍さんは「富裕層が豊かになれば、国民も必ず豊かになる」と言わんばかりだったが......。今、多くの国民が「物価高+円安」に苦しんでいる。

 それに安倍一派の不祥事続き。年末からの「裏金騒動」......。「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」と豪語した「あの事件」も放(ほ)ったらかし。「検証」が必要だ。

 しかし、安倍政治には検証すべき「お手柄」も存在する。

「大化」以来、1400年近く続いた「漢籍を典拠とする元号」に代え「令和」という和風元号に踏み切ったことだ。「元号」は古代中国で創始された紀年法の一種。世界で日本だけが制定しているが、天皇の即位から崩御までを一つの元号とする「一世一元」。昭和から平成への改元も昭和天皇崩御の日に新元号が発表された。

 今回は202年ぶりの譲位による改元。これまですべての元号が「漢籍を典拠」としていたが、安倍さんはこれを万葉集にある「初春令月、気淑風和」という文章から「令和」という元号を選んだ。歴史が変わった。

 実は「和風元号」を強く主張したのは「お友だち」の笹川陽平さん(公益財団法人日本財団会長)だった。笹川さんは、知る人ぞ知る「右翼の頭領・笹川良一」の三男。自民党に多大な影響力を持つ人物である。

 彼は2019年1月3日付の『産経新聞』正論欄に「中国古典にとらわれず新元号を」という論文を寄稿した。「わが国独自の発想で作れ!」と主張したのだが、翌日、新年恒例の伊勢神宮参拝の途中、これを読み、安倍さんは「和風元号」を決意したらしい。

「令和」の典拠は『万葉集』巻五の「梅花謌卅二首并序」だった。

 安倍さんの数少ない「お手柄」の一つ!として、時代背景を含めて、ぜひ「検証」してもらいたい。

 同時に「徹底的な検証」が必要なのが、安倍さんの「コロナワクチン好き」だ。米バイオ企業「モデルナ」が開発するワクチンに「経済的に応援」をしたり、退任後も、自衛隊運営のワクチン接種不備に疑問を呈した朝日新聞出版と毎日新聞社に対して、自身のツイッター(現X)で「極めて悪質な妨害愉快犯と言える」などと投稿。その「前首相の発言」がメディアの「ワクチン批判」を封じ込めた!との見方さえあるが......。

 今、コロナワクチンの副作用が次々に明るみに出ている。安倍推奨のコロナワクチンは善か?悪か?

 検証すべき「安倍流」は数多い。

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 ◇まき・たろう

 1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある

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