サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2023年10月29日号
自民党若手が消費税減税を主張するなら「れいわ新選組」に入れ!
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牧太郎の青い空白い雲/921

 日に日に「貧乏」を痛感する。

 我が家の食卓からブロッコリーが消えた。何しろ、高いのだ。1株200円以上。平年と比べ6割高! 手が出ない。食品の値上げは並大抵ではない。鶏卵が36・2%、炭酸飲料が16・4%、ハンバーガーが14%も上がって約48年ぶりの「上げ幅」になったという。

 この異常な物価高に賃金の伸びは追いつかない。海外と比べ、日本の平均収入はめちゃくちゃ低い。その上、給料が上がらないのに「負担」は上がりっ放し。国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合、つまり「国民負担率」は今年46・8%。1970年代は25%前後だから、現役世代は「日に日に貧乏」になっている。

 小黒一正・法政大教授の試算によれば、2022年に年収500万円の独身(30代)の場合、所得税など税金で約39万円、年金や医療費など「社会保険料負担」で約71万円。その結果、「手取り」は約390万円になってしまった。サラリーマンはもともと「貧乏」なのだ(約30年前は同じ年収500万円でも「手取り」は約410万円というから、20万円分も「貧乏」になった計算だ)。

 正直言って、現役世代が気の毒。せめて「消費税」をゼロにしなければ!と思うのは当然である。

 しかし、消費税は廃止!と主張するのは山本太郎の「れいわ新選組」だけだ(「消費税導入以降引き下げられてきた法人税をもとに戻し、さらに累進課税を導入する」というのが山本の主張)。「消費税廃止!」はいつでも、どこでも少数意見なのだ。

 ところが、突如「消費税減税!」と叫ぶグループが現れた。自民党の若手議員らの「責任ある積極財政を推進する議員連盟」。新聞報道によれば、10月はじめ、政府に対し「10%の消費税率を時限的に5%に引き下げろ」と言い出したらしい。結構なこと!と思ったが......。ちょっと待てよ? この記事、昔、読んだ記憶がある。

 調べてみると、2020年3月30日の某新聞に「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策をめぐって、自民党の若手議員らは記者会見を開き、消費税の減税を求める緊急声明を発表しました」とある。「景気の致命的な下降を食い止めるには、消費税の減税が欠かせない」として、5%への引き下げか、消費税をゼロにするよう求めていた!というのだ。

 で、この時「自民党若手」の主張はどうなったか? その後の報道は皆無。若手は「減税を言っただけ」、政府は「聞いただけ」。今回も「言っただけ」か? 「いつも、選挙が近づくと減税組が現れるんですよ」と記者さんは笑うが、もし「今回は真剣です」という若手議員さんがいれば申し上げる。

「れいわ新選組」に入ったらよい。落選確実のあなたが当選するには、コレしかないかも(笑)。

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