サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2023年10月 8日号
岸田さん、「Are you OK? You look pale」(大丈夫? 顔色が悪いよ!)
loading...

牧太郎の青い空白い雲/919

「昼飯、一緒に食べに行こうか?」と誘ったら、若者から「大丈夫です」と言われた。行きたいのか?行きたくないのか?
「OK」なのか?「No, thank you」なのか、まったく分からない。
 昔からの親友が言うには、最近若者の間で「大丈夫です」が一種の流行(はや)り言葉らしい。
「『大丈夫です』と言うのは、お前の申し出を上手に断るために用意した言葉。結構です!という意味だろう。大体、お前と喜んで飯を食う奴(やつ)はオレ以外いないよ」と大笑いする。
 その78歳の親友が「大丈夫かな?」と心配するのは「大谷のケガ」。「多分、大丈夫だろう」と答える。
「悪い結果」を予感するのが嫌な時〝年寄り〟も、「大丈夫!」という曖昧な言い方を選んでしまう。
 飯を食べながら、親友はしきりに「こんな人を大臣にして、岸田内閣は大丈夫か?」を連発した。
 確かに岸田さんの内閣改造では「不安な大臣」ばかり。例えば、盛山正仁・文部科学相。記者会見で「文部科学の分野とはそれほど近くなかった」「これから勉強しながら一生懸命取り組む」。
 いかにも人が良さそうなご仁だが、大臣に就任してから勉強って......。教育行政に素人を任命するなんて、これが「適材適所」か?
「外務大臣には、2018年の豪雨災害時に自民党議員が宴会した、通称〝赤坂自民亭の女将(おかみ)〟上川陽子さん。2014年、政治資金規正法違反で捜索される直前、ドリルでパソコンを破壊して証拠隠滅したとされる小渕優子さんが党の選対委員長。岸田さんは度胸があるなあ」と大笑い。
「政治とカネ」の疑惑はあちこちにある。例えば、女性登用の目玉として大抜擢(ばってき)された加藤鮎子・こども政策担当相にも政治資金還流疑惑が報じられている。
「それより『週刊文春』に叩(たた)かれ続けた木原誠二官房副長官の処遇が問題だ」と彼は言う。
 木原さんの妻の元夫が死亡した事案に絡み、警視庁が妻にも事情を聴いていたのだが、木原さんは「その捜査」に圧力を掛けた!と『週刊文春』が追及。それ以外にも「あってはならない事」が幾つも指摘されている。木原さんは『週刊文春』を訴えたというが、この経緯をまったく説明しない。
 ジャニーズ事務所の性加害問題では東山紀之新社長が「4時間の謝罪会見」に耐えたが、疑惑まみれの木原さんは一度も「真相」を話さない。その木原さんを今回も「党の要職」に据える岸田さん。
 国民はどう思うか?
「大丈夫ではないよな」と言えば、親友は「大丈夫? 英語で言えばAre you OK? You look pale(大丈夫? 顔色が悪いよ!)だろう」
 でも本当のところ、顔色が悪いのは岸田さんではなくて、国民のほう?
 国民は舐(な)められている。

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム