サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2023年9月 3日号
教えは「自主創造」。独立国的「自治」がマンモス日大の良さだ!
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牧太郎の青い空白い雲/915

 僕は日本大学第一中学、高校の卒業生である。新聞記者になりたくて、大学は早稲田の新聞学科を選んだが、今でも、酒を飲んだりすると「日に日に新たに 文化の華の......」で始まる「日本大学校歌」(作詞:相馬御風/作曲:山田耕筰)を口ずさむ。

「いざ讃(たた)えん 大学日本 いざ歌わん われらが理想」というところが好きだ。「ニホンダイガク」と言わず「ダイガクニホン」と歌うのが、何となくカッコ良い。

 日大の卒業生は約121万人。まさに「ダイガク」と言えば「ニホン」。教育の理念は「自主創造」。「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」。日大一高の教えも「自由第一」で、受験勉強なんてやらずに、好き勝手に「青春」を謳歌(おうか)した。

 だからわが家は、勉強好きの長男は自由な校風の「麻布高校→早稲田大政経学部」、勉強嫌いな次男は、もっと自由な「日大一高→日大法学部」。長男の倅(せがれ)、つまり、僕の孫は日大に在学中。理工系の勉強をしている。

 日大のアメフト薬物事件は大いに気になる。

 確かに薬物はいけない。新聞・テレビは連日「大事件」扱い。薬物を飲んだ学生はまるで「凶悪犯人」。大学の対応を批判して、作家の林真理子理事長を追及する。大学のイメージも低下するだろう。

 でも、日大は26ある中・高付属校などを含め、学生・児童生徒は11万8000人超。理事長の目が届かないのは当たり前だ。キャンパスもあちこちに分かれているから、事実上「独立国」のようだ。

 記者会見で、林さんは「(アメフト部に関しては)非常に優秀と聞いているコーチ、監督がいたので、そういう方に任せておけば大丈夫ではないかと安易な気持ちがあった」と漏らしたが、「それで良いじゃないか!」と僕は思う。

 現場に任せるのは大事である。

「自主創造」の教えの通り「自治」が大事なのだ。

 なぜ、日大騒動ばかり報道されるのか? 昨今、警察とメディアはまったく違う「ある事件」を隠そうしている。

 前々回、この欄で【副長官の妻の「事件」で露呈した「政権と警察・検察の異様な蜜月」】と題して疑惑を指摘した「木原官房副長官の事件」である。キャンペーンを続ける『週刊文春』は新たに「木原誠二官房副長官は違法風俗の常連だった!」とスッパ抜いた。

 犯罪性が指摘されているのに、なぜか新聞、テレビは「木原問題」を報道しない。日大騒動を連日報道するのに「木原問題」では口をつぐんだままだ。

「たかが大麻じゃないか!」と言うつもりはない。しかし、この種の薬物所持で捕まる若者は多い。なぜ今回だけ、日大だけ大々的に報道するのか? どう見ても、メディアの「日大バッシング」は異常だ。

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