サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2023年7月 2日号
成人年齢は18歳になったのに「被選挙権は25歳以上」の不思議
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牧太郎の青い空白い雲/909

 国会の委員会で、その昔、都知事を務めたこともある「参議院議員」センセイが〝大きなあくび〟をしているのを見せられ、失礼ながら「大センセイはもうダメだ」と思った。

「あくびの程度」が並外れているのだ。あくびは、不足した酸素をより多く取り入れようとする「一種の生理現象」。疲れがたまっていて、眠いときに出るのは「普通のあくび」。問題はない。退屈な議論が続くと、議員さんはつい「普通のあくび」になりがち。そこで、彼らは深呼吸したり「適度に体を動かす」ことで「あくび」を防止する。これが議員の「礼儀」である。

 この元都知事の場合、あくびがあまりにも大きい! あまりにも頻繁だ。もしかすると、眠気がないにもかかわらず出てしまう「生あくび」ではないのか?

「生あくび」は病気のサイン? 人間は体調不良を自覚する前に「生あくび」を出す。(「欠神発作」とは違うけれど)一度は病院に行ったら、どうだろうか? 彼は「大あくび」の後、颯爽(さっそう)と〝スマホ〟を弄(いじ)っていたらしい。どうやら「コトの善悪」に気づかない病気?なのかもしれない(委員会室では携帯電話の使用が禁止)。

 この大センセイ、オントシ76歳。失礼ながら、何やら「年齢の壁」みたいなものを感じてしまった。

 だからといって、「議員の定年制」を主張するつもりは断じてない。少子高齢化の時代。今まで以上に議会は「年寄りの意見」を大事にしなければならない。それより気になるのは、「議会が若者の知恵を排除している」ことだ。

 公職選挙法は地方議員・市区町村長選・衆院選に立候補できる年齢を「満25歳以上」、参院選と都道府県知事選では「満30歳以上」と決めている。18歳になればどの選挙でも投票できるのに、立候補年齢は「7歳以上」も高く設定されている。

 これは異常である。世界各国の被選挙権年齢を調べてみると(195カ国・地域のうち)最多が「18歳」の65カ国(33・3%)。英国は2006年の法改正で被選挙権年齢を21歳から18歳に引き下げた。2番目に多かったのは「21歳」。日本や米国、韓国など55カ国が「25歳」。どちらかというと「少数派」である。

 岸田文雄首相の選挙応援演説会場で爆発物が投げ込まれた事件。威力業務妨害容疑で逮捕された男は「被選挙権の年齢制限」に強い不満を持っていたが、彼の言い分も分からないではない。今年の統一地方選では、20代の8人が議員選や知事選に届け出て不受理になった。彼らは「年齢制限で不受理にしたのは被選挙権という基本的人権を侵害するもの」として、国を相手に違憲訴訟を起こすらしい。

 ともかく、年寄りも若者も「立候補の壁」はあってはならない!

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