牧太郎の青い空白い雲/906
何でもかんでも「新しい税金を!」と考えるのが権力者の常。その結果、妙チキリンな税金が登場する。
例えば、2011年、世界初の「脂肪税」を導入したのは北欧・デンマーク。2・3%以上の飽和脂肪酸を含む食品、バターやチーズ、牛乳、肉類などの食品が課税対象になったが、さすがに低所得者から「批判」が相次ぎ1年間で廃止された。
もっともハンガリーでは、通称「ポテトチップス税」(健康増進税)を同年に導入。肥満防止?目的で、ポテトチップスだけでなく、スナック菓子や清涼飲料水など糖分や塩分の高い食品が課税対象になった。
屁理屈をつけてカネを搾り取る。古今東西、これが「権力者の常」だ。日本では701年の「大宝律令」で租・庸・調の仕組みが登場した。田を与えられる代わりに「租」(収穫した稲の3〜5%を納める税)、「庸」(都で10日間労働する代わりに布を納める税)、「調」(絹や海産物などの地方の特産物を納める税)を納めるようになった。「年貢」である。しかし「年貢」では豊作・不作の差が大きく税収は不安定。そこで「年貢」をやめ、土地に税金をかける「やり方」に変更した。
所得税、法人税などができた明治以降、今度は「新しい税金」を次々に考える。
その〝究極〟は1989年に導入された消費税。初めは3%だったが、97年からは5%、2014年からは8%、19年10月からは10%に引き上げられた。
しかし、そんなことで驚いてはいけない。岸田政権になってからは「何でもかんでも増税」である。
例えば、「国民年金の納付期間の5年間延長策」。これまで59歳までだったものを64歳までに引き上げる。そうなれば平均で約100万円も負担増になる。消費税のインボイス制度の導入も「巧みな増税策」。零細業者は平均15万円強、よけいに払うことになるという。10月から「第3のビール」の酒税が引き上げられ、来年は「森林環境税」が創設され、住民税が増える見通しなのだ。
なぜ増税ラッシュが続くのか?
岸田さんは年間約5・5兆円の防衛費を段階的に現在の2倍(GDP比2%)に増やしていく方針だ。はっきり言って、狂気の沙汰だ。そんな余裕はまるでない。
それなのに岸田さんはゴールデンウイークを利用してアフリカを歴訪。エジプトで首都カイロと郊外を結ぶ地下鉄整備に約1000億円の円借款の供与を表明。ガーナでは、サハラ砂漠南部地域やガーナを含むギニア湾沿岸諸国の平和と安定のため、今後3年間で約680億円の支援を公表した。合わせて約1700億円のバラマキ!
空前絶後の大増税と狂気の海外バラマキ――。日本は間違いなく崩壊するぞ!