サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2023年5月28日号
中国「暴発戸」による「暴発戸」のためのバブルが弾ける予感?
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牧太郎の青い空白い雲/905

 ゴールデンウイーク。久しぶりに遊びに来た「不動産関連の知り合い」が寂しそうに、「日本人はマンションが買えなくなった」と言い出した。

 確かに、マンション価格は今年に入って急騰。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県)で、3月に発売された新築マンションの1戸当たりの平均価格は1億4360万円に達したという(「不動産経済研究所」調べ)。

 3月は港区で超高額マンションの販売があって「極端な数字」になったらしいが、知り合いは「マンションは1億円の時代に突入した」と話す。これでは年収600万円から700万円ぐらいの「普通のサラリーマン」にマンションは高根の花。到底、手に入らない。

 少子高齢化、人口減少で「元気がない」ニッポン。「衰退国家」なんて言われているのになぜマンション価格はウナギ登り?

「それは暴発戸の仕業なんだ」とその知り合いは言う。

「暴発戸」とは〈未燃焼ガスが充満し、引火、爆発した場合に内圧によって開き、人的被害や煙道等の損傷を軽減させるシステム〉のこと。中国人は「爆発的にお金持ちになった成金」のことを「暴発戸」と言うらしい。ITや仮想通貨などで儲(もう)けた「暴発戸(超富裕層)」が資産を持て余し、日本の不動産に目をつけ、買い漁(あさ)る。

「普通の中国人は子どもを日本に留学させ、子どものために高額なマンションを購入する形で、資産を作る。ところが暴発戸は、中央区や千代田区など『都心5区』の物件を安値で買ってすぐ転売する。この投機的な買い方がマンションの価格を上げている」と言うのだ。

 まさに「暴発」である。

 彼らは熱海や箱根などリゾート地の古いホテルを買いたたき、中国人向きの別荘に改築して販売しているらしい。気がつけば日本中、あっちもこっちも中国「暴発戸」のもの!なんてこともあり得る。

「札幌でも、高額マンションが売れているんだ」と知り合いが話して帰った夜。たまたま、『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本版の「中国の三線都市 マンション在庫処分に苦慮」という記事を読んだ。

「三線都市」とは「経済規模が大きい小都市」を指すらしいが、この記事では「中国で2月までに完成し、売れ残った新築マンションの面積は約3億2500万平方㍍、約400万世帯分」と分析している。中国本土のマンション在庫は400万戸?

 すでに「バブル崩壊」が起こっている。中国「暴発戸」による「暴発戸」のための「日本の不動産景気」の運命は?

 まあ「今回は違う」と言われながらも必ずバブルは起き、必ず崩壊して、金融危機や通貨危機に突き進んでいく。それが歴史というものではないか?

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