牧太郎の青い空白い雲/897
『サンデー毎日』の編集長から呼び出された。
「青い空白い雲の原稿料の支払いを停止します。4月からは逆に掲載料を編集部に払ってもらいます」
「エッ?」
「広告ページと同じ扱いです。自分の意見を広げたいなら、広告料を払うのは当たり前じゃありませんか!」
「そんなバカな......?」
「国は年金制度をやめます。逆に長生きすると老人税を払うようになります。ご存じでしょ」
「エッ? そんなこと、知らないぞ!」
「生きていくためには、すべてカネを払わなくてはならない。すべて世の中、カネ、カネですよ」
「......」
「通告します! これまで編集部が払った原稿料は全額返済してもらいますよ」
「エッ、全額返済? ちょうど900回ぐらいだから......」
必死に計算を始めて......。やっと目が覚めた。
変な夢だ。カネ、カネ、カネが最前線......。悪夢だ。
ライバル誌『週刊朝日』が休刊するのを知ったからこんな夢を見たのだろうか?
そういえば、経済学者で「米イェール大学助教授・成田悠輔」という人物がインターネットテレビで「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」などと発言した時も「衝撃」だった。
集団自決、集団切腹......。ただ気持ちが悪くなって......。
忘れよう!と思ったのだが、頭の片隅に残っていたのだろう。アレが「変な夢」に繋がったのかもしれない。
確かに、ウザくて邪魔な年寄りが大勢いる(多分、僕もそうだろう)。
そのせいで、若い人が割を食っている!と思っている人は多いだろう。でも、「老人が自動でいなくなるシステム」を作るなんて。まるで、ナチスのユダヤ人虐殺みたいなものだ。
ずば抜けて頭が良い学者さんが「福祉削減のための高齢者抹殺」を口にするなんて......。何年か前、あるアナウンサーが、「実費が払えない人工透析患者は殺せ!」と主張するのを聞いた時も「衝撃」だった。
有能な人物の間で「差別、排除の思想」が平気で前面に出てきた。
「成田悠輔」という人物は「切腹」という文化を再評価する形で、自分の手を汚さず「洗練された殺人システム」を作ろうとしているのだろうか。
「悪夢」だ。彼の悪夢にうなされている。この人物と議論する気は全くない。
ただ「自分が年寄りになってから言え!」と言うだけだ。