サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2023年3月26日号
高齢者は集団自決しろ!の「成田悠輔」の悪夢にうなされている
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牧太郎の青い空白い雲/897

『サンデー毎日』の編集長から呼び出された。

「青い空白い雲の原稿料の支払いを停止します。4月からは逆に掲載料を編集部に払ってもらいます」

「エッ?」

「広告ページと同じ扱いです。自分の意見を広げたいなら、広告料を払うのは当たり前じゃありませんか!」

「そんなバカな......?」

「国は年金制度をやめます。逆に長生きすると老人税を払うようになります。ご存じでしょ」

「エッ? そんなこと、知らないぞ!」

「生きていくためには、すべてカネを払わなくてはならない。すべて世の中、カネ、カネですよ」

「......」

「通告します! これまで編集部が払った原稿料は全額返済してもらいますよ」

「エッ、全額返済? ちょうど900回ぐらいだから......」

 必死に計算を始めて......。やっと目が覚めた。

 変な夢だ。カネ、カネ、カネが最前線......。悪夢だ。

 ライバル誌『週刊朝日』が休刊するのを知ったからこんな夢を見たのだろうか?

 そういえば、経済学者で「米イェール大学助教授・成田悠輔」という人物がインターネットテレビで「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」などと発言した時も「衝撃」だった。

 集団自決、集団切腹......。ただ気持ちが悪くなって......。

 忘れよう!と思ったのだが、頭の片隅に残っていたのだろう。アレが「変な夢」に繋がったのかもしれない。

 確かに、ウザくて邪魔な年寄りが大勢いる(多分、僕もそうだろう)。

 そのせいで、若い人が割を食っている!と思っている人は多いだろう。でも、「老人が自動でいなくなるシステム」を作るなんて。まるで、ナチスのユダヤ人虐殺みたいなものだ。

 ずば抜けて頭が良い学者さんが「福祉削減のための高齢者抹殺」を口にするなんて......。何年か前、あるアナウンサーが、「実費が払えない人工透析患者は殺せ!」と主張するのを聞いた時も「衝撃」だった。

 有能な人物の間で「差別、排除の思想」が平気で前面に出てきた。

「成田悠輔」という人物は「切腹」という文化を再評価する形で、自分の手を汚さず「洗練された殺人システム」を作ろうとしているのだろうか。

「悪夢」だ。彼の悪夢にうなされている。この人物と議論する気は全くない。

 ただ「自分が年寄りになってから言え!」と言うだけだ。

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