サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2022年9月25日号
旧統一教会騒ぎを機に「宗教法人の活動は無税」を考え直そう!
loading...

牧太郎の青い空白い雲/878

 インチキ宗教はごまんとある。

 どう考えても、信者たちはインチキ教祖に騙(だま)されている!と思うのだが、その犯罪性を立証するのは結構、難しい。

 その昔、「足裏診断」なる〝教え〟を売り物にした宗教が存在した。「手相占い」は昔からある。生命線・感情線・頭脳線・運命線・財運線・結婚線なるものを指さして相手の人生を占う。旧統一教会も信者を集めるキッカケに「手相占い」を使ったようだが、足の裏に「人の運命」が隠れているのか?

 1987年、静岡県で宗教法人の認証を受けた「法の華三法行」の設立者「福永法源」という人物は、「足裏」を見て「汚い足裏ですね! このままだとがんになるよ!」などと脅し、人々を教団へ勧誘。約2万人から約870億円の「お布施」を集めた。相手を脅し、騙(だま)し、金銭を取る。これは明らかな詐欺罪だが、教祖様が「騙していない。これは信仰!」と言い張ると......。警察だって手も足も出ない。

 ところが「法の華三法行」の場合、民事訴訟の過程で、信者や相談者を脅して騙す「教団内のマニュアル」の存在が発覚。「福永」教祖は詐欺容疑で逮捕された(懲役12年の実刑が確定。すでに刑期を終えて出所している)。インチキ宗教が詐欺罪で摘発されたのは僕が知る限り、この事件しかない。

 はっきり言えば「福永」教祖と同じようなインチキ宗教家が活動している。占いなどで正体を隠して勧誘する旧統一教会も「組織的詐欺集団」とみなせないか? 野放しのインチキ宗教をなくすためには何が必要か?

「税制の革命的改正」がぜひとも必要!と思う。

 納税は国民の三大義務のひとつ。憲法第30条には「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」とある。納税の義務は国民としての当然の行為だが、同時に、憲法は「その義務は法律の定めるところ」にあるとしている。租税法律主義の原則である。

 今の法律は「宗教法人の宗教活動は課税されない」と判断している。簡単に言えば、法人税は〈法人の所得=利益=もうけ〉に対しての課税。宗教活動は、一般の企業活動と違い、営利を目的に行われるものではない!と言うのだ。で、お賽(さい)銭は寄付の一種とされ、所得にならない(宗教法人が所有する土地を駐車場にして、料金を取った場合は「駐車場業」として課税されるが、普通法人よりも低い法人税率が適用)。さらに所得税でも、宗教法人が受け取る利子や配当は非課税となっている。

「宗教と税金」に関してはさまざまな意見がある。宗教活動に課税!と主張すれば新聞、雑誌に「不買運動」が起こるかもしれない。

 でも、あえて言う。財政危機に陥っている日本国も「宗教と税金」を真剣に議論すべき時期ではないだろうか?

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム