サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2022年9月 7日号
『月刊Hanada』は旧統一教会批判は魔女狩り!と言うけれど...
loading...

牧太郎の青い空白い雲/877

『サンデー毎日』の編集長だった昔、『噂(うわさ)の真相』という雑誌に毎号毎号、悪口を書かれていた。

 反権威スキャンダリズムを標榜(ひょうぼう)していたユニークな雑誌だから仕方ないが、一度だけ「極めて好意的」に扱ってもらったことがある。

『別冊「噂の真相」日本の雑誌』(1990年11月)。特集に僕と『週刊文春』編集長の花田紀凱(かずよし)さんのインタビューを並べて掲載してくれた。

『噂の真相』編集部が選んだ100冊の雑誌の中でも、もっとも威勢が良いメディアとして『サンデー毎日』と『週刊文春』を選んだのだ。大先輩の花田さんと同じような「扱い」にうれしかった。

 その後、僕は脳卒中で倒れ、編集者の仕事はできなくなったが、花田さんは名だたる人気雑誌を渡り歩き、今は『月刊Hanada』の編集長。業界トップを走る勢いだ。昔のことを覚えてくれるのか、花田さん、毎月雑誌を送ってくれる。ありがたい。

 でも、10月号は気に入らない。

 右翼気質(かたぎ)で「安倍晋三命」を貫く花田さんのことだから「追悼大特集 安倍総理を忘れない!」は当然である。花田さんの気持ちがよく分かる。

 安倍晋三元首相の「遺稿『打撃力』なくして日本は守れない」は読ませた。そして、岸信夫前防衛相の独占インタビュー「安倍派は私が引き継ぎます」も感涙した。

 でも、「総力特集 統一教会批判は魔女狩りだ!」は頂けない。世界日報取材班の「デマを拡散させる石垣のりこ立民議員の居直り」などは、あまりに偏っている(『世界日報』は旧統一教会系のメディアである)。

 花田さんが言うように、新聞、テレビの旧統一教会批判は「魔女狩り」をしているのだろうか?

 メディアは「信教の自由」を無視しているのだろうか?

 はっきり言わせてもらう。旧統一教会の問題は「信教の自由」とまったく無関係である。カルト宗教は「信教の自由」を悪用して平気で反社会的な行為を繰り返す。「宗教」とは名ばかり。その実態は反社会的集団である。

 最近の新聞、テレビの旧統一教会批判報道は「事実」に基づいている。

 例えば、8月27日のTBS「報道特集」。合同結婚式に参加した元信者が4人も「顔を出して」取材に応じていた。元信者の洋子さん(実名)は「統一教会を否定する、悪く言うのは皆サタンなんですよ。私も(教団の)中にいるときはそう思っていた」と証言しているが、花田さんも「報道機関はサタン!」と思っているのだろうか?

 新聞、テレビの大部分は「渾身(こんしん)の取材」を続けている。

 僕の経験から言えば、旧統一教会は「オウム真理教」と同じだ。「宗教」という隠れ蓑(みの)を利用して、旧統一教会は堂々と合同結婚式という人権侵害を繰り返している。

 その昔、『サンデー毎日』と『週刊文春』は「オウム真理教」追及で取材合戦を繰り広げた。

 花田さん!

 つい昔を思い出し、「勝手な意見」を申し上げた。許してください。

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム