牧太郎の青い空白い雲/858
「噓(うそ)よりも八丁多い江戸の町」。古川柳にあるように、その昔、江戸は「八百八丁」、大坂は「八百八橋」。人々は〈数が多いこと〉を「八百」と言った。
お坊さんは、もっとオーバーで「八万地獄」とか「八万奈落」とか、教える。
だとすれば「安倍晋三」という奇異な人物は「噓八百」どころか「噓八万」である。
最新の安倍晋三流「噓八万」のお話は「核共有」である。
「NATOは核シェアリングという手法で核の脅威に対して抑止力を持っている。もしウクライナが(NATO)に入ることができていれば、このような形にはなっていなかっただろう」と言い出した。
もちろん、真っ赤な噓である。
NATO加盟国数カ国はアメリカから核兵器を借り受ける形で自国内に戦術核を配備。平時はアメリカに管理を預けているが、自国に核ミサイルが飛んでくるような非常事態になると迅速に迎撃態勢が取れる(と約束している)。
その「核共有」を日本もやれ!と言うのだ。
首相時代、毎年、広島と長崎を訪れ、平和式典では「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずの非核三原則を堅持する!」と言い続けたのに、平気で噓をつく。
仮に国内に核を置くことになれば、逆に敵国から「その場所」が先制攻撃を受けてしまう。「核共有」は馬鹿(ばか)げた「非現実的な議論」なのだ。
今や史上最悪の独裁者になってしまったプーチン大統領の言いなりになって、ロシアのクリミア侵攻で、西側諸国が経済制裁をしている最中、安倍さんは「日露経済協力」を結び、ロシアにカネをばら撒(ま)いた。
そればかり、ではない。北方領土問題では「4島返還」を「2島返還」に値切りしてしまった。
この屈辱的な対ロシア外交を隠すために、安倍さんは「核共有」という「噓八万の新しい出し物」を用意したのだ。騙(だま)されてはいけない。
今回のウクライナ侵攻で、日本が学ぶべきことは「占領された首都東京の制空権」である。
世田谷区、杉並区、練馬区、武蔵野市などのほぼ全域が現在「米軍の横田空域」。アメリカが「制空権」を握っている。
横田基地に配備された「特殊作戦用の垂直離着陸機オスプレイ」はこの空域内で頻繁に低空飛行訓練を行っている。
日本の首都の空は「実はアメリカのもの」なのだ。
万一、戦いに巻き込まれたら? このまま、首都東京が疑似占領状態でよいのか?
プーチン戦争で、我々が学ぶべき点は「噓のない独立国」ではないだろうか?