牧太郎の青い空白い雲/856
「反撃」もあるが、プーチン大統領のウクライナ侵攻は一気呵成(かせい)だ。
英国のジョンソン首相が「規模の点では(第二次世界大戦終結の)1945年以来、欧州で最大の戦争になり得る」と話したそうだが、軍事施設へのロケット攻撃は規模に関しても、スピードに関しても「並」ではない。
多分、友好国・中国の顔を立てて、北京冬季パラリンピック開幕までに決着をつけたかったのだろう。
ともかく、世界を敵に回しても(3月初めの現時点では)戦況はプーチンの「やや有利」?。
それにしても......大国は自分勝手だ。
1991年、ソビエト連邦はロシアやウクライナなど15の共和国に分裂した。
この時、ロシアにも、アメリカにも、西欧にも「気になる事態」が生じた。
ウクライナには核弾頭1240発、大陸間弾道ミサイル176基が存在していたのだ。(多分、この時点で、ウクライナは「世界第3位の核保有国」になっていたはずだ)
1994年、アメリカとロシアの両大国が「国境の不可侵」を約束し、この見返りで、ウクライナは「核」を放棄した。もし、ウクライナが「核」を持ち続けていたら、ロシアはそう簡単に侵攻できなかっただろう。
1988年のソ連のゴルバチョフ書記長とレーガン大統領の首脳会談で「第二次大戦で勝利した国はどこか?」が話題になった。
勝ったのはアメリカ、イギリス、フランス、ソ連......だが、ゴルバチョフは笑いながら「結果的に勝利したのは日本とドイツですよ」と話したらしい。
この首脳会談の頃、第二次大戦で負けた日本、ドイツが(ソ連を抜いて)超一流の経済大国になっていた。
レーガンも、ゴルバチョフ流の歴史観に賛成した。
今回のウクライナ侵攻で、西側と足並みを揃(そろ)えた日本の経済制裁は効果があるのか?
プーチンの「お誘い」に乗って、もう一つの大国・中国は(北京パラ後)台湾制圧に動くのか?
大体、プーチンは勝つのか? ウクライナ侵攻後の「流れ」を見極めようと、証券相場の世界は一喜一憂している。
「遠くの戦争は買い」とか「戦争は号砲とともに買え」とか、戦争絡みの相場格言があるらしい。
人々の心理的不安が株価を押し下げるけれど、戦闘が実際に始まると「アク抜け感」で、買い戻される!という意味らしいが......
当方は「戦争に勝者はいない!」と確信している。