サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2022年3月20日号
「号砲とともに買え」と相場は言うが「戦争」に勝者はいない!
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牧太郎の青い空白い雲/856

「反撃」もあるが、プーチン大統領のウクライナ侵攻は一気呵成(かせい)だ。

 英国のジョンソン首相が「規模の点では(第二次世界大戦終結の)1945年以来、欧州で最大の戦争になり得る」と話したそうだが、軍事施設へのロケット攻撃は規模に関しても、スピードに関しても「並」ではない。

 多分、友好国・中国の顔を立てて、北京冬季パラリンピック開幕までに決着をつけたかったのだろう。

 ともかく、世界を敵に回しても(3月初めの現時点では)戦況はプーチンの「やや有利」?。

 それにしても......大国は自分勝手だ。

 1991年、ソビエト連邦はロシアやウクライナなど15の共和国に分裂した。

 この時、ロシアにも、アメリカにも、西欧にも「気になる事態」が生じた。

 ウクライナには核弾頭1240発、大陸間弾道ミサイル176基が存在していたのだ。(多分、この時点で、ウクライナは「世界第3位の核保有国」になっていたはずだ)

 1994年、アメリカとロシアの両大国が「国境の不可侵」を約束し、この見返りで、ウクライナは「核」を放棄した。もし、ウクライナが「核」を持ち続けていたら、ロシアはそう簡単に侵攻できなかっただろう。

 1988年のソ連のゴルバチョフ書記長とレーガン大統領の首脳会談で「第二次大戦で勝利した国はどこか?」が話題になった。

 勝ったのはアメリカ、イギリス、フランス、ソ連......だが、ゴルバチョフは笑いながら「結果的に勝利したのは日本とドイツですよ」と話したらしい。

 この首脳会談の頃、第二次大戦で負けた日本、ドイツが(ソ連を抜いて)超一流の経済大国になっていた。

 レーガンも、ゴルバチョフ流の歴史観に賛成した。

 今回のウクライナ侵攻で、西側と足並みを揃(そろ)えた日本の経済制裁は効果があるのか?

 プーチンの「お誘い」に乗って、もう一つの大国・中国は(北京パラ後)台湾制圧に動くのか?

 大体、プーチンは勝つのか? ウクライナ侵攻後の「流れ」を見極めようと、証券相場の世界は一喜一憂している。

「遠くの戦争は買い」とか「戦争は号砲とともに買え」とか、戦争絡みの相場格言があるらしい。

 人々の心理的不安が株価を押し下げるけれど、戦闘が実際に始まると「アク抜け感」で、買い戻される!という意味らしいが......

 当方は「戦争に勝者はいない!」と確信している。

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