サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2022年2月 6日号
大学共通テストは不要。それでもやりたいなら10月にしろ!
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牧太郎の青い空白い雲/850

 人生、全て「不平等」である。

 金持ちの家に生まれるか? 貧乏人の家に生まれるか? それだけで、人生が決まってしまうこともある。

「親の光は七とこ照らす」という諺(ことわざ)がある。

「七とこ」の「とこ」は「場所」のこと。仏教の教えでは、人間が輪廻(りんね)転生する「六道」、つまり天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の六つの世界、それに「六道」から解脱することで向かう「仏界」を加え、人間が生きるところは「七つの場所」にある!と教えている。

 親の光は「七つの場所」を照らす!

 つまり......どこに行っても、親の威光、権力、社会的地位が子供の人生を左右する!と看破しているのだ。

 それなのに、教育現場では「人間は平等でなくてはならない」と奇麗事を言い続ける。

 例えば昨今の「コロナ騒動と大学入学共通テスト」問題である。

 共通テストは国家が行う「平等なシステム」。ところが、今年はオミクロン株の感染で、本番直前の1週間前になって、文科大臣が、共通テストを受験できなかった新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者について「個別試験のみで合否判定しろ!」と大学側に求めた。事実上、共通テスト免除?

 当然、共通テストを受けた受験生と個別試験だけの受験生の間に「不平等」が生じる。

 ネットでは〈「コロナにかかった者勝ち!」って言われても仕方がない〉と批判する意見が殺到した。

 再三言うが「人生は不平等が普通」である。だから、どうルールを変えても「不平等」がつきまとう。そのくらいなら共通テストをやめたらいい!と思う。

 共通テストの前身「センター試験」が導入された背景には、志願者の急増があった。採点業務の負担増、合否判断をしやすくするための難問・奇問の続出......受験戦争の過熱が社会問題になっていた。

 ところが、昨今、大学志願者数は? 1992年の92万人をピークに減り続け、今や少子化で62万人前後に減り続けている。

 やめたらいいじゃないか?

 聞くところによると、共通テストを実施する大学入試センターは文科官僚の出向先。検定料だけで年間95億円を稼いでいるらしい。

 もしかすると、この組織が、日本最大最強の受験産業になっている。

 もし、文科省のために続けたいと言うのなら、インフルエンザや風邪(もちろんコロナも)、それに大雪が相次ぐ1月実施をやめようじゃないか。

 好天が続く10月実施が(若干ではあるが)平等である。

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