サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年12月26日号
日本の中心 東京・中央区の「副」区長は何と在職20年!
loading...

牧太郎の青い空白い雲/845

「1日1万歩は健康に良い」というのは本当だろうか?

 ここ1、2年、コロナ騒動もあって、外に出ない。だから「1日1万歩」には程遠い。

 ということは、当方、日々、不健康になっているのか?

 お医者さんに聞いてみたら「運動のしすぎは、健康効果がないどころか、健康を害することになりますよ」

 では「1日1万歩」が健康に一番良いのか?

「でも、1万歩という数字には科学的な根拠はありません。多分、1960年代に『万歩計』というものが発売された影響で、日本人は1日1万歩が良い!と思い込んだのでしょう」

 つまり、商品名が日本人の健康志向を助けた?

 確かに「万」と字を辞書で調べると、①数の名。千の10倍。②数が非常に多いこと――とある。「万」は切りがよい。「万」という字はマーケティングメッセージとしては最高だったのだろう。

 日本語は使い方によって特別の「効果」を上げるものだ。

 実は「副」という字にも「特別の効果」を感じている。

 日本の中心部・東京都中央区に「区長」より偉い?「副」区長がいる。吉田不曇(うずみ)さん。75歳。先の区議会で賛成多数で、吉田さんは12月から5期目に入った。副区長の任期は4年だから、区のナンバー2を20年間、務めることになる。

 吉田さんは1970年入庁。ほぼ一貫してまちづくりの仕事を担い、2005年、現在の副区長に当たる助役に就任。矢田美英(よしひで)前区長の下で、地価高騰で人口流出が進んだ中央区に超高層マンションを呼び込む再開発事業に全力を挙げた。

 その結果、減り続けた中央区の人口はV字回復した。

 その功績は誰もが評価するが、区長が交代しているのに「副」区長が変わらない。ちょっと長過ぎるのではないか?

 職員の何人かは「本当は吉田さんが区長なんだ」と話す。

 副区長の職務は「区長を補佐し、職員の担当する事務を監督する」こと。職員から見れば「一番怖い存在」なのだろう。

 しかし、公共事業の分野で「副」に権力が集中してしまってよいのか?と批判する向きもある。

 選挙の洗礼を受けない「副」区長が事実上、最高権力者?

 そういえば「副」という字を辞書で調べると①主たるものにつき添うもの。控え。② 余計につけ加わる。例えば「副作用・副産物」――とある。

「副」の字の効用は微妙である。

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム