サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年12月 5日号
1日で100万円!議員の「お手当」みんなで貰えば怖くない?
loading...

牧太郎の青い空白い雲/842

「パパ活」という言葉を知らなかった。

「パパ活」とは......若い女性が年上の男性とデートして、その〝見返り〟に金銭やブランド品を受け取る「活動」。70歳代の友人が「一度だけ経験した。ネットで〝パパ活〟と入れて検索すれば、専門の業者が見つかるから、お前さんでもできるぞ!」。

 で、「パパ活」はどのくらいカネが掛かるのか?

 ネットでは「拘束時間30分~2時間の〝顔合わせ〟のお手当は交通費の意味合いが強いため5000円~1万円が相場」とある。

 当初、食事だけの関係が前提だった「パパ活」も、最近は「肉体関係」を持つのが普通。若い女性向けのサイトは「大人の関係に発展する場合は5万円~10万円以上のお手当を頂くことができます」と宣伝している。

 リッチなパパ(「太(ふと)パパ」と言うらしい)を見つけると、高級マンションで豊かな生活が約束される!というのだが......あの友人の話では、新型コロナの影響で職場をなくした女性が「パパ活」に大挙参入し、「お手当」は大幅に下がっているという。

 それに引き換え、議員センセイは「お手当」貰(もら)い放題なのだ。

 衆院選で当選した「維新の新人議員」について、大阪府の吉村洋文知事が「なんと10月分の文書通信交通滞在費100万円が現金で満額支給されたとのこと。10月分?選挙の投開票日が10月31日なんだけど。どうやら1日だけでも国会議員の身分となったので、10月分、100万の札束、満額支給らしい」とツイッターに投稿した。

「文書通信交通滞在費」とは、歳費やボーナスなど(年間約2100万円)とは別に、国会議員に毎月100万円支給される「お手当」。電話代、郵便代、交通費、東京での滞在費などの名目で支給されている。1947年に「通信費」(月額125円)、「滞在雑費」(日額40円)として支給が始まったが、金額はうなぎ登り。領収書の添付義務や、使途の報告・公開義務もないので「第二の給与」と揶揄(やゆ)されるアレである。

 衆院選は10月31日午後8時から開票。わずか数時間だけで新人議員に100万円! 歳費は日割り計算(約3万円)なのになぜか「お手当」だけが満額支払い!

 その昔、ある議員が海外投資に1億円送金したが、その大半が文書通信交通滞在費の流用だった騒動が起こった。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」ということか、この「非常識」を国会は見て見ないフリをする。

 議員センセイの中には「パパ活」に熱心な方も多いらしいが、公費を「彼女のお手当」に使ったりして......ともかくセンセイは「太パパ」だ(笑)。

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム