牧太郎の青い空白い雲/840
値上げの秋。
ガソリン代はべら棒に上がっている。油脂や砂糖、卵の価格上昇を受けて、家庭用のマーガリン、パン、洋菓子も平均7%から8%程度値上げしている。
電気・ガス料金も値上がりして......家計は苦しくなった。
でも、安い!と感動する商品もある。例えば、讃岐うどん専門店「丸亀製麺」。看板商品の「釜揚げうどん 並サイズ290円」は安い。
マクドナルドハンバーガー「ビッグマック」390円もめちゃくちゃ安い。同じ商品がアメリカでは621円である。
今、国際的に見て、日本の物価は安過ぎるのだ。
なぜ、安いのか? それは日本人が貧乏だからだ。購買力がないからだ。
安くしなければ、客は来ない。儲(もう)かっている飲食業は「焼肉きんぐ」、回転寿司の「はま寿司」、それに、例の「丸亀製麺」......安売りチェーンばかりだ。
OECD(経済協力開発機構)によると、アメリカの年間平均賃金は約791万円。日本は約439万円。この30年間、日本ではまるで賃金が上がっていない。
アメリカの平均賃金は48%増。これに比べ、日本はたった4%増。派遣、非正規社員は逆に下がっている。
当然、消費は衰退する。コロナ禍もあって失業者が増え、賃金は上がらず、商店街はシャッター通りばかり。
その賃金デフレをひどくしているのは、消費税増税だろう。
消費税率は14年4月に5%から8%、19年10月に10%(食料品などは8%で据え置き)へ引き上げられた。軽減税率品目以外は増税幅5%!
これはトンデモナイ大増税だ。これを断行したばっかりに、日本は一億総貧乏国家になってしまった。
四半世紀に及ぶ超長期デフレ。この衰退から抜け出すには「民間の知恵」だけでいいのか?
前回の「バラマキの財源は増税か?また国債か?未来は真っ暗闇の選択...」の中では「結論らしきもの」に触れなかったが、日本が「衰退」から逃れるには大掛かりな財政出動が必要だろう。
政府が大量に国債を発行して、資金を成長分野に振り向け、民間投資を誘う。そうして、日本人の所得を増やすしかない。日本には「余剰資金」があるから、これは可能だ。
それまで、当方「2種の天ぷらと定番おかずのうどん弁当390円」を食い続ける覚悟(笑)。この「丸亀うどん弁当」なるものは4月の発売からシリーズ累計1400万食以上を売ったらしい。
貧乏国では「安い!」が正義ではあるが......。