サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年11月14日号
バラマキの財源は増税か?また国債か?未来は真っ暗闇の選択...
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牧太郎の青い空白い雲/839

 無責任極まりない「衆院選」が終わった。

「我が党は○○万円、差し上げます」「我が党が政権を取ったら税金はゼロです」......岸田首相が「未来選択選挙」と名付けた衆院選、本当のところは「史上最大のバラマキ合戦」だった。

 岸田さんは「給付策を含む追加経済対策は数十兆円の規模」と約束。公明党は「18歳以下を対象に一律10万円」、立憲民主党は「年収1000万円程度まで時限的に所得税を実質免除する」と明言した。

 所得税がゼロ? 夢物語ではあるまいか?

 日本維新の会は「生活に必要な最低限の金額を一律に給付するベーシックインカム(最低所得保障)を導入。月6万~10万円の給付を想定している」!

 国民民主党は50兆円規模の緊急経済対策の必要性を説き、最大20万円の給付。れいわ新選組は「コロナ脱却給付金」として毎月20万円。消費税は廃止!を訴えた。

 各党の言い分を聞いていると、映画「男はつらいよ」の寅さんの啖呵売(たんかばい)を思い出した。

「東京は花の都、神田は六法堂という大きな本屋さんが、わずか百五十万円の税金で泣きの涙で投げ出した品物!だからこんなに安い!」というアレである。

 バラマキ合戦に猛反対する矢野康治・財務事務次官の論文「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」(『文藝春秋』11月号)も芝居がかる。

「国家公務員は『心あるモノ言う犬』であらねばと思っている」とか「タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」とか。良いか悪いか?はともかく、「バラマキ衆院選」に華を添えた。

(「財政をあずかり国庫の管理を任された立場」と言う財務事務次官さまが「日本の財政は破綻に向かっている」というメッセージを送ったら、「金融市場が反応し、国債は一斉に売りに出され、金利が高騰するのでは?」と心配したが、不思議なことに、何も起こらなかった)

「バラマキ」で始まり「バラマキ」で終わった衆院選。日本の未来はどうなるのか?

 公約通り「現金給付」が行われるとすれば、その財源は?

 大企業や高額所得者に対する「増税」に求めるのか?

 国債発行で確保するのか?

 もしかして、公約とは真逆に「消費税アップ」なんてことも?

 国の長期債務は只今(ただいま)973兆円、地方の債務を合わせると1166兆円。GDPの2・2倍である。

 ああ、バラマキ王国の未来は真っ暗闇だ!

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