サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年10月 3日号
総裁選「後」を面白くするのは小難しい議論派?日本共産党
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牧太郎の青い空白い雲/833

 新聞、テレビは自民党総裁選の話ばかりで、野党のことはほとんど報道しない。不公平じゃないか!と知人に言われた。

 仕方ないじゃないか。総裁選はヤクザ映画の「仁義なき戦い」みたいで波瀾万丈(はらんばんじょう)。結構、面白い。それに引き換え、野党の面々は小難しい議論ばかりで、つまらない。

 でも、当方「日本共産党」に期待している。何から何まで正しい!というわけではないが、共産党はカネ、カネ、カネの自民党より「民主主義」を大事にしている。

 共産党だけが「政党助成金」を受け取らない。税金を「山分け」しようとする企てに反対している。立派だ。

 しかし、いまだに共産党を「暴力革命の党」と思い込んでいる「向き」も多い。確かに、かつて共産党は綱領で「君主制の廃止」を掲げていた。しかし、2004年の綱領改定で「天皇条項も含めて現行憲法のすべての条項を順守する立場」を明記した。令和の天皇即位に対する賀詞を議論した本会議で賛成している。

 にもかかわらず「危険な党」と誤解されているのは「中国共産党」のイメージと重なるからだろう。当方、かつて共産党の幹部に「党名を変えたら」と言って、怒られたことがある。

「カネ、カネ、カネの利潤第一主義の悪は資本家が工場、機械、土地などの生産手段を独占しているところにある。その生産手段を個々の資本家から社会の手に移すのが我々の使命。『共産』という言葉は〝生産手段の社会化〟を端的に表す言葉だ」と言うのだ。

 そんな小難しい議論が大好きな日本共産党が、自民党総裁選後「政権交代」ができるか?の鍵を握っている。

 野党共闘を求めてきた民間団体「市民連合」の仲介で、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組が「政策協定」に合意。共産党の志位和夫委員長は「選挙協力について前向きな合意をつくり上げる」と述べ、共産党候補を大幅に減らすことを約束した。

 自民党が大勝した前回(2017年)の衆院選。野党が選挙区で候補者を一本化していたと想定し、その得票を単純に合計したら、自民、公明両党が勝利した223選挙区(自民党の追加公認含まず)のうち、64選挙区で野党側が「逆転勝利」する勘定だった。野党候補乱立で政権批判票が分散したのだろう。実は自民党は「薄氷の勝利」だった。

 自民党は総裁選で新しい「選挙の顔」を選び、衆院選で勝つ!つもりだが、ひょっとすると、野党の候補者一本化で惨敗!ということもあり得る。

 この秋、永田町は面白くなるかも?

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