牧太郎の青い空白い雲/831
小さな会社を経営しているので、8月31日は「苦しみの納税日」。法人税、消費税、都民・事業税。個人としても市県民税、事業税。もう一つの「苦難の納税日・3月31日」には固定資産税が加わる。
「ともかく税金の種類が多すぎるんだ」と友人に嘆いたら「俺なんて、たばこを吸っているだけで毎日、税金を払っているんだ。俺の方がお前より余計払っているかもしれないぞ!」と冗談を言う。
たばこを吸うと幾ら税金を払うのか? 調べてみた。
例えば、1箱540円のたばこを買うと国たばこ税126・04円、地方たばこ税142・44円、たばこ特別税16・40円。
それに消費税が49・09円掛かるから、一箱の税金は総額で333・97円。何と商品価格の61・8%が税金なのだ。
友人は「1日2箱」のペースだから、333・97円×2箱×365日=24万3798円10銭。確かにバカにならない。
しかも、である。2000年代に入ってから、03年、06年、10年、18年、20年と5回も「増税」断行。今年10月1日は6度目の値上げで、人気のセブンスターが現行の560円から600円になる。
コロナ不況の昨今。なぜ、愛煙家だけがイジメられるのか?
政府(厚生労働省)は「国民の健康を守るため、たばこの消費を抑制するため」と主張する。増税すれば吸う人間が減る。だから「国民の健康を守る増税」だというのだ。
本当だろうか?
1年間に、たばこの税収は約2兆円。東京五輪・パラリンピックの開催経費が1兆6440億円だから、その規模の大きさが分かるだろう。で、この約2兆円は何に使われているのか?
国たばこ税と地方たばこ税は一般財源(一般会計)に組み込まれる。約1248億円の「たばこ特別税」は何故(なぜ)か、かつての国鉄債務の返済に充てられている。
たばこ税が国民の健康のため使われている「証拠」はまるでない。多分、東京五輪の赤字(2兆円?)をカバーするのだろう。
個人的なことで恐縮だが、当方、30年前、47歳で禁煙した。脳出血で倒れ「日本たばこ産業株式会社東京専売病院」(今の国際医療福祉大学三田病院)に運ばれた。当時、入院患者専用の喫煙室まで用意されていた「たばこ最優先」の病院だったが、ある医師が小さな声で「たばこはやめましょう」と言ってくれた。正直なお医者さんだった。
度重なる「たばこ増税」で、失政のツケを払わされる愛煙家の皆さん、10月1日を機に、たばこにサヨナラしたらどうだろう?