サンデー毎日

コラム
それってどうよ
2021年6月27日号
「私の新人時代とは違う」と言われたのも今は昔=池野佐知子
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OL400人は考える・それってどうよ!?/700

 コロナ禍の新入社員。初めての会社でコミュニケーションが取りにくく気の毒ですが、今週は「今年の新人列伝」です。

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「優しい時代は本当なのね、と思うほど穏やかな子が多い新人群。先日、オンライン会議で忙しくてアタフタする40代後半の上司に『大丈夫ですか? 汗拭いて、何かひと口飲んでください』と語りかけていました。その口調はまるで主治医か心療内科医。癒やされるような、上司に上から目線? でも優しいと意識が混乱しました。上司も『あ、はい』とか答えていて、失笑」(機械・27歳)

「営業先とのオンラインミーティング。いつまでたってもオンラインに慣れない取引先の中小企業社長様に、嚙(か)んで含めるように分かりやすく、丁寧にオンラインの操作を教える新人クン。社長様がトンチンカンなことを言っても、言ったことがなかなか理解できなくても、どこまでも根気強く、優しく、穏やか。その間、私は別の仕事をしていました(笑)」(人材派遣・26歳)

「新人ちゃんと親睦を、と思い、社食でランチしたとき、『どうせ言わないよね』と思いつつ『カレとかいるの?』と聞いてみたら、『いるんですよ、でも......』とカレとの問題を語る語る。いや、いいんですけどね。私が新人のときは、恋愛話をまだ馴染(なじ)みのない先輩には絶対にしなかったけど」(商社・26歳)

「普通なら私たちにあちこちに連れ回される中でそれぞれの関係が深まる頃ですが、昨年、今年と新人ちゃんたちと一緒に食事や飲みに行けない状態。だからこそ、たまたまタイミングが合ってランチなどに行った新人ちゃんを行かない新人ちゃんが妬む構図が顕著。平等意識が強すぎて、面倒くさいトコ、あります」(広告・28歳)

「同期に『ねぇねぇ、これって......』と見せてもらった新人のSNSが明らかに私のことに思える。いつもものすごく私のことを気遣っているふうなのに、これが本音? SNSって恐ろしい」(エネルギー・32歳)

「何気なく見えてしまった新人クンの待ち受け画面が家族写真だった」(都市銀行・26歳)

「不景気もろかぶりの弊社。多分ボーナスも期待薄なのですが、いよいよ『副業OK!』の指令が届きました。それを見て『あ~あ、副業しようかなぁ』とつぶやいたら、新人女子が速攻で『オススメ副業リスト』をLINEしてくれました。聞けば、彼女、すでに副業しているとのこと。4月入社ですが? 自分で言うのもなんですが、弊社はそれなりに人気企業ですが? 令和の新人の底力を見た気分でした」(アパレル・25歳)

「アフリカのブルキナファソで生まれ育って、アメリカのアイビーリーグに進学し、なぜか弊社にやってきた新人君。この釣書だけで取引先の方々に興味を持たれます。常に落ち着いていて『怒ったこととかある?』と聞いたら、少し考えたあと『ないかもしれません』と真っ白な歯を見せて答えました」(コンサル・28歳)

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 令和の新人、穏やかながらも、伸びしろを感じますね。

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