サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年6月20日号
〝安倍再々登板〟が無理ならポスト菅に「弟・岸信夫防衛相」を?
loading...

牧太郎の青い空白い雲/819

 このところ、安倍晋三前首相が度々、メディアに登場している。

 コロナ禍に苦しむ国民に「国産ワクチン生産を遅らせた失政」を詫(わ)びるのか?と思ったら、さにあらず。5月26日発売の『月刊Hanada』のインタビューでは「闇将軍」気取り。

 まずは質問者に「世論調査では河野太郎、石破茂、小泉進次郎が人気で、辞めたばかりの安倍総理も候補に入っていますが?」と質問させる。安倍再々登板も選択肢の一つ!と印象づけた上で、茂木敏充外相、加藤勝信官房長官、下村博文(はくぶん)政調会長、岸田文雄前政調会長の4人の名前を挙げた。

 すかさず、質問者は「緊迫した国際情勢を見ていると、安倍総理の再登板を望む層もありますが?」「それは全く考えておりません」と笑ってみせた。

 ウキウキと言うか、ワクワクと言うか......いやに、ご機嫌なのだが、田舎芝居だろう。

 安倍復権を望む筆頭は首相補佐官兼秘書官だった今井尚哉(たかや)さん。最近はある新聞で「脱炭素社会実現は安倍政権の発想」と発言。今でも経済産業省がエネルギー政策の司令塔!と豪語してみせた。

 もちろん「安倍復権」に待った!を掛ける向きもある。二階俊博幹事長である。自民党本部から公認候補だった河井案里元参院議員サイドに1億5000万円ものカネが渡っていたことについて、わざわざ記者会見で「組織上の責任は総裁と幹事長にある」と明言した。案里さんを選挙に担ぎ出したのは安倍さんだからコレは痛い。

 そこで「奇策」が持ち上がった。「岸信介(のぶすけ)・佐藤栄作兄弟のように、安倍晋三・岸信夫の兄弟宰相を誕生させたら」と言うのだ。

 岸さんは現職の防衛相。最近、新型コロナの大規模接種で〝実在しない接種番号〟で予約できることを指摘した報道をめぐって、朝日新聞出版、毎日新聞と大げんか。右翼系から「やるじゃないか!」と評価された人物だ。

 4月17日には、日本最西端の沖縄県・与那国島を視察した。この日、ワシントンでは日米首脳会談。共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」という言葉が入った。これを事前に知った岸さんは、台湾から110キロの「最前線の島」に降り立って「台湾の安定」を強調してみせた。やるじゃないか。

 彼は、安倍晋太郎元外相が父、岸信介元首相は祖父。政治家としては超サラブレッド。

 もし、自衛隊の新型コロナワクチンの大規模接種が成功して、東京五輪・パラリンピックが開かれれば、ひょっとすると、ポスト菅の「穴馬」になる!と聞かされ......皆さんはどう思うだろうか?

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム