サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2021年4月25日号
「イベルメクチン」を使えば新型コロナは〝タダの風邪〟になる?
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牧太郎の青い空白い雲/812

 ワクチン接種が遅すぎる。主要先進37カ国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の中で、日本のワクチン接種率は(4月初めの時点で)最下位の0・65%。医療従事者の優先接種も終わっていない。

 ワクチン担当大臣は「6月までに計1億回分(5000万人分)確保」と約束したが、あてにならない。

「だから!」と、何人かの知人が新型コロナ予防治療薬?として「イベルメクチン」を入手した。

 ご存じだと思うが「イベルメクチン」はノーベル賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授らが開発した抗寄生虫薬。熱帯地域で流行する難病「河川盲目症」の治療に効果があるが、新型コロナにも「効く」と言うのだ。

 日本でも北里大学大村智記念研究所・慶應義塾大学薬学部の関係者らが「イベルメクチンのCOVID―19に対する臨床試験の世界的動向」を報告(3月5日)。「2021年1月30日現在、世界27か国で91件の治験が行われ、その結果、早期治療では83%、後期治療で51%、発症予防で89%の改善が認められている」と発表している。

 それが本当なら、ワクチンがなくても大丈夫?

 しかし、知人たちをガッカリさせる情報もある。WHO(世界保健機関)は「イベルメクチンは新型ウイルス感染者の治療には使用するべきでない」という見解を示しているのだ。

 どちらが正しいのか?

 この意見対立の裏には「製薬業界のややこしい事情」が存在する。アメリカの製薬大手メルク社が「特効薬の候補」として低分子化合物「モルヌピラブル」の臨床開発を進めている最中なのだ。昨年10月、第2・3相臨床試験を開始、安全性、有効性がともに期待できるのだが、試験終了は今年12月。かなり先の話だ。

 実は「イベルメクチン」も、同じメルク社が開発に関わってきた「経緯」がある。しかし、新薬発売後、かなり時間が経過して、この薬は「ジェネリック医薬品」になっている。どこの製薬会社でも製造発売可能なのだ。

 メルク社が「イベルメクチン」ではなく、新薬「モルヌピラブル」で儲(もう)けようとしてもおかしくない。

「大資本の味方」と評判のWHOは「イベルメクチンは効かない」というメルク社の言い分を鵜呑(うの)みにしているのではあるまいか?

 特効薬が発見されれば、新型コロナは「タダの風邪」になる。

 専門家が言わないから、あえて言う。「コロナ治療」は今、重大局面を迎えているのだ!

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