サンデー毎日

コラム
青い空白い雲
2018年9月23日号
馬はなんにも言わないけれど、「睾丸の下垂」でよく分かる?
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牧太郎の青い空白い雲/685

人間さまには「睾丸(こうがん)(陰嚢(いんのう))が垂れ下がった状態」で日常生活に支障をきたすケースがある。男性の場合、下着を着けずにしゃがむと性器が地面に着いてしまう人がいる。洋式や和式のトイレで座ったときに、便器や水に性器がつくことも。歩行に不便な場合があると手術が必要になる。
突然「医学的なこと」を書いて恐縮だが、実は書きたいのは、「競走馬と性器」のことだ。牡馬の「睾丸」も垂れ下がることがある。
夏競馬。あまりに暑くて、馬たちも"熱代謝"が難しくなってしまうことがある。夏バテ?「アソコ」が垂れ下がる。
当方、下見所(したみじょや返し馬で出走馬の「アソコ」をじっくり観察して「下垂の馬」の馬券は買わないことにしている。
もっとも、今年の新潟競馬はこんな努力にもかかわらず、当方の馬券は外ればかりだったが(笑)。
   ×  ×  ×
突然、こんな話をするのは、前回の「今や五輪は国家総動員!でも『馬術は他国で』の声も」を読まれた読者から、
「東京五輪の馬術もナイターにしたら!と言うが、むしろ馬は暑さに強いのではないか?」
という質問を受けたからだ。
馬は人間と比べて暑さに強いのか?弱いのか?
医学に素人なので、皆目分からない。しかし、競走馬も「熱中症」にかかるのは事実である。
熱代謝がうまくいかず、熱をためすぎると熱中症になるので、厩務(きゅうむ)員はレース後、検量室前でホースで水を掛ける。
JRA(日本中央競馬会)所属馬では、ここ数年、60頭前後が「熱中症」になっている(2015年62頭、16年58頭、17年66頭、今年は未集計)。
馬も猛暑になれば夏バテになる。
   ×  ×  ×
一昔前は「エアコンは馬にとって良くないから極力使わない!」という世界だった。が、今は違う。スポット式のエアコンだけでなく、厩舎ではさまざまな「猛暑対策」を行っている。
例えば、最近流行(はや)っているのはドライミスト(霧散布)。これに加えて電解質パウダーを飼い葉や飲み水に混ぜて万全を期す。
JRAは地方競馬と違ってナイターがない。「命にかかわる暑さ」の頃にメインレースが組まれている。
だから、厩舎は命がけで馬を守る。外に出さないようにする。
   ×  ×  ×
馬も熱中症になる!
だから、東京五輪の馬術もナイターにしたほうがいい!とわざわざ主張するのは、安倍自民党は本気で「愚かなサマータイム」を進めようとしているからだ。
自民党の戦略は「サマータイムを通じて低炭素社会構築を目指す議員連盟」を立ち上げ、サマータイムは省エネ、温暖化ガスの削減につながる、それに「余暇が増えれば消費の増加に結びつく!」とアピール。その上で党政調会に「検討」を申し入れる。それをクリアできれば、秋の臨時国会に超党派の議員立法で関連法案の提出、成立を目指しているのだ。
   ×  ×  ×
バカも"休み休み"にしてほしい。サマータイムの導入なんてできるはずがない。
コンピューターシステムの変更には少なくても4~5年は必要だという。東京五輪には間に合わない。
本来なら、東京五輪は「秋開催」が相応(ふさわ)しい。
「馬は暑さに強いはず」なんて意見が出てくる背景には、「何もしないで日程通りの夏開催」を強行する"強行派"がいるからだ。
「命にかかわる暑さ」の2020東京五輪。日本男児の「アソコ」は大丈夫だろうか?もちろん、半分、冗談ですが(笑)。

◆太郎の青空スポット
「雨晴」はすぐやむ?
「道の駅」ブーム。今年の夏旅行は、新潟競馬後に北陸「道の駅」巡りにした。ナンバーワンは「雨晴(あまはらし)」(富山県高岡市太田24―74、0766―53―5661)。日本の渚(なぎさ)百選の一つにも選ばれている雨晴海岸。海越しに見える立山連峰が奇麗だ。近くの「義経岩」には源義経がにわか雨の晴れるのを待ったという伝説が残る。この日(8月28日)は、あいにくの空模様だったが、この「道の駅・雨晴」に入ったら、なぜかすぐやんだ。

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