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2020年12月20日号
夢の続きは終わらない 嵐のコトバ なぜ5人は国民的アイドルになったのか
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スターなのになぜか親近感がある。子どもから大人まで、世代を問わず広く支持される嵐の国民的な人気は、どこからくるのだろう。近藤勝重・毎日新聞客員編集委員は、そのコトバに注目する。「愛される理由」は歌詞にもインタビューにもあった!

「この世界を一度離れて、見たことのない景色を見てみたい。一度、嵐を離れ、立ち止まって自分を見つめ直したいという気持ちがでかい」

昨年1月27日、グループとしての活動休止を発表した会見で、嵐の大野智はこう発言した。

「したことのないことをしてみたい」でも「行ったことのないところへ行ってみたい」でもなく、「見たことのない景色を見てみたい」。そう言われると、わが事のように「そうだよね」と、背中を押す気になった人もいるだろう。元本誌編集長の近藤勝重・毎日新聞客員編集委員は、かねて嵐が繰り出すヒット曲の歌詞に関心を持ってきた。新刊『言葉が思いつかない人のための語彙トレ55』(大和出版)でも、その魅力の分析に紙幅を割いている。

「昭和の時代、〝嵐〟を呼んだ大スターが石原裕次郎さんで、彼を頂点に数多くのスターが昭和歌謡の系譜に身を投じました。それは人生や男女のドラマ、とりわけ別離を湿っぽく、作家の山口洋子さんが言うところの〝ため〟の情感で歌い上げるものだった。ところが嵐の楽曲には、その要素が全く感じられなかったのです」(近藤氏、以下同)

メンバーの5人は昭和生まれでも、デビューは平成11年。当然といえば当然だが、近藤氏には、昭和歌謡の文脈では立ち行かない状況下での突破力が〝嵐を呼んだ〟と映った。

「普通なら、アイドルらしくラブソングに流れてもいいところ、嵐の楽曲は『力を合わせて前向きに生きていこう』というメッセージソングを主体にしたエールが多いんです」

たとえば「サクラ咲ケ」(2005年)では〈振り向くな 後ろには明日はないから 前を向け〉(作詞/相田毅)と背中を押す。「感謝カンゲキ雨嵐」(00年)では〈泣きながら生れてきた僕たちは たぶんピンチに強い〉(作詞/戸沢暢美)と鼓舞する。「Happiness」(07年)では、〈上手く行く事を想像すれば いつの日か変わる時がくる〉(作詞/Wonderland)と励ます。

「特別な描写力のある言葉が並ぶわけでもない。言葉そのものがもともと持っている力に依拠しているので、そこにある明るさや肯定感には、『そんなの絵空事だろう』と言い返せないパワーがある。鼓舞する言葉を通じて普遍的な価値を伝えていると思うんです。5人のいい意味での自然な普通っぽさも関係しているでしょう」

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