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2020年11月 8日号
映画「鬼滅の刃」は「千と千尋」抜くか ダイナミックな映像美と音の世界
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『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が10月16日、初日を迎え、3日間興行成績が動員約342万人、約46億2311万円を記録。宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」(2001年)が持つ日本映画歴代1位の興収308億円を超える可能性も出てきた。

原作は吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)氏による『週刊少年ジャンプ』に初の連載コミック。大正時代を舞台に、少年、竈門炭治郎(かまどたんじろう)が鬼になってしまった妹を人間に戻すため、仲間とともに成長し、鬼を退治するストーリー。

人気に火がついたのは19年4月からのテレビアニメ放送後だ。手掛けたのは今夏公開の最終章で3部作の累計興収が50億円を突破した「Fate」シリーズなどで知られるアニメ制作会社「ufotable(ユーフオーテーブル)」。世界の残酷さを正面から描きながら、独特の映像美を見せるのはお家芸。音楽は、アニメ界のヒットメーカーで、NHK「歴史秘話ヒストリア」のテーマ曲でも知られる梶浦由記氏。原作のバトルシーンにさらなる躍動感を与え、ダイナミックな映像と音の世界を作り上げた。さらには、炭治郎役の声優・花江夏樹をはじめ、人気声優が脇を連ねている。

LiSAが歌う主題歌「紅蓮華(ぐれんげ)」もメガヒット。昨年大みそかのNHK紅白歌合戦出場を果たし、アニメには関心の薄い層にも知れ渡ることになった。

さらに、決定づけたのは、今年のコロナ禍だ。自粛要請が出た4、5月には配信系サイトの加入者が急増。アニメ放送時に見逃した人もストーリーに追いつくことができた。ネットフリックスでは人気のベスト10の常連作品となっている。

アニメの大ヒットの鉄則は高いリピート率があること。WEB初日アンケートによると、満足度は「非常に良かった」(84・6%)、「良かった」(13・8%)と高く、SNS上では「また見たい」との声も多数聞こえる。コロナ禍でハリウッド大作もないことから、その躍進は止まりそうもない。

(平辻哲也)

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