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2021年9月19日号
社会 兵庫県明石市の海岸が変わった 市長の刑事告発で「暴走船」追放
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 兵庫県明石市の林崎・松江海岸が変わった。

「市長が刑事告発した後、水上バイクの危険行為はほぼなくなりました。水上バイクに乗る人はマナーを守ってくれています」

 そう話すのは、同市都市局海岸治水課の担当者だ。水上バイクとは「水上オートバイ」「ジェットスキー」ともいい、高出力のエンジンを積んだ小型船舶のことだ。操縦者を人定不詳のまま刑事告発した泉房穂市長は、8月6日の記者会見でその理由をこう説明した。

「(操縦者は)大変大きなリスクを認識しながら、わざとあえて走行させております。人を死に至らしめる危ない行為だからこそ、緊急対策が必要。当該行為は殺人未遂罪に当たる」

 それに先立つ7月下旬、林崎・松江海岸沖でシュノーケルを着用して潜る人や浮輪で遊ぶ親子連れの至近距離を、猛スピードでかすめる水上バイクが目撃されていた。

 国の運輸安全委員会は2015年、水上バイクの事故を分析した資料を公表した。同委員会が調査対象とした09〜14年の水上バイクが関係する事故やインシデントのうち、〈86・5%について死亡者・行方不明者・負傷者が発生していました。これは、水上オートバイが関与しないその他の船舶事故等と比べて死傷者等の発生率が約3・5倍〉(「運輸安全委員会ダイジェスト」第17号)。

 今年7月下旬の林崎・松江海岸では、目撃者の通報を受けた海上保安部の巡視艇が駆け付けても、スピードが速い水上バイクは逃げてしまった。しかし、目撃者が撮影した映像があり、テレビでも放送された。水上バイクの専門サイト「ワールドジェットスポーツマガジン」の記事には、こうある。

〈ニュース映像に映っていた水上バイクは、2021年モデルの新型です。ここから、暴走行為を働いた人の身元は、簡単に判明できるでしょう〉

 明石市は同海岸に監視カメラを10台設置し、今後も設置場所を拡大する。

(粟野仁雄)

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