サンデー毎日

社会
News Navi
2021年8月 1日号
社会 三重・鈴鹿で突然倒れた信号 原因は犬の「マーキング行為」
loading...

 原因は犬の小便だった。2月に突然倒れた三重県鈴鹿市の信号機を支える鋼鉄製の柱のことだ。柱の根元が切れ、歩道に倒れたが、けが人はいなかった。三重県警交通規制課の担当者は「現場は小学校の通学路で、通学時間帯に倒れていたら事故が起きる可能性もあった」と胸をなでおろす。倒れた柱は設置から23年目。通常は設置から50年ほど持つという。

 なぜ倒れたのか。県警は設置方法にも材質にも問題はなかったものの、柱が腐食していることを確認していた。交換予定の候補だったが、倒壊してしまったという。

 県警の科学捜査研究所が調べると、根元付近から高濃度の尿素を検出した。同じ交差点に立つ他の信号機柱の40倍近かったという。科捜研は「尿素の塩分が腐食を早めた」と調査結果をまとめた。尿素は犬の小便に由来するとしか考えられない。県警交通規制課の担当者はこう話す。

「長年尿がかけられれば、信号機は傷み、倒れる可能性もあります。家で排泄(はいせつ)を済ますなど飼い主の意識を高めてほしい」

 現場付近には公園があり、犬の散歩をする人が普段から多い。オスの犬は片足を上げて、電柱などに小便をかけることが多い。そうすることで、自分の縄張りを主張する「マーキング行為」だ。

 倒壊を防ぐには、柱の根元を太くする、プラスチックで覆うといった方法が考えられるという。水を入れたペットボトルを持ち歩き、犬が小便した所にかけるよう、飼い主に呼びかけるのも一案だ。「屋外で犬に小便をさせるな!」なんていう看板が林立する窮屈な世の中にならなければいいのだが。

(粟野仁雄)

うさぎとマツコの人生相談
週刊エコノミストOnline
Newsがわかる
政治・社会
くらし・健康
国際
スポーツ・芸能
対談
コラム