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2024年6月 2日号
経済 スター・チャンネルはお買い得? ジャパネットの拡大戦略
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 通信販売大手のジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)は、映画専門のBS有料チャンネルなどを展開するスター・チャンネルを買収すると発表した。東北新社が保有する運営会社の全株式を、ジャパネットの放送子会社ジャパネットブロードキャスティングが6月1日に取得する。

 ジャパネットは「無料衛星放送と有料衛星放送の2チャンネル運営を通じてシナジーを生み出し、これまで以上に視聴者の皆様がワクワクするような放送局を目指す」としている。

「スターチャンネル」は、日本初の映画専門の有料チャンネルだ。一方、ジャパネットブロードキャスティングは、2022年3月に開局し今年で3年目。無料のBS放送局「BSJapanext」を立ち上げ、21年に放送を終了した長寿クイズ番組「パネルクイズアタック25」を復活させて注目を集めた。

 ジャパネットは1990年、創業者である髙田明氏の話術でラジオショッピングを主体とした通信販売業に進出。94年にテレビショッピングをスタートさせると、折り込みチラシやインターネットも活用してきた。髙田氏による独特のセールストークは、バラエティー番組で頻繁にモノマネされるなど、ジャパネットを通信販売大手に飛躍させる起爆剤となった。

 商品の仕入れからアフターフォローまで全てに責任を持つ「自前主義」を貫く。自社スタジオのほか、番組制作スタッフをすべて自社で雇用し、自社グループで番組制作を完結する戦略は異色だ。そこにスター・チャンネルが加わることで、顧客への訴求力は高まる。

 スター・チャンネル買収を決めたのは、髙田氏の長男で現社長の髙田旭人氏だ。旭人氏は東京大教養学部を卒業後、野村證券に入社。その後「ジャパネットたかた」に入社すると、12年に副社長、15年に社長に就任した。

 ジャパネットの業績は、「主力のグルメ定期便の累計会員数は19万人を突破するなど順調に増加している」(大手信用情報機関幹部)という。21年には視聴者がリアルタイムでショッピングに参加できるライブコマース「みんなで買いまショッピング」をスタート。「生産者が出演することで、商品の魅力や視聴者からの質問にもリアルタイムで回答する双方向性を意識した内容で、番組が通販事業の拡販に繋げられる工夫がある」(同)

 これだけではない。24年10月開業予定で「長崎スタジアムシティ」の建設を進めており、約1000人を新規雇用する計画がある。「長崎市に2万人収容のスタジアム、6000人収容のアリーナ、約250室のホテル、11階建てオフィス及び商業施設を備えた複合施設で、総投資額は900億円に及ぶ」(メガバンク幹部)とされる。

 ジャパネットは経営難に陥ったサッカークラブの「V・ファーレン長崎」を17年に買収・子会社化しており、会長兼社長を旭人氏が務める。スタジアムはクラブの本拠地にもなる。拡大路線は吉と出るか。

(森岡英樹)

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 ◇もりおか・ひでき

 1957年生まれ。経済ジャーナリスト。早稲田大卒業後、経済紙記者、米コンサルタント会社を経て、2004年に独立

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